「北方ジャーナル」の新年号、2024年1月号が今日から店頭に並んだ。今月のトップは「江差パワハラ 自殺遺族の慟哭を聴け」だ。本誌前号で報告した“手のひら返し”が波紋を呼んでいる、北海道立江差高等看護学院の在学生自殺問題。教員によるパワーハラスメントと学生の死との「相当因果関係」をめぐって道の主張が二転三転する中、渦中の遺族が改めて取材に応じ、当局への不信感をあらわにした。「被害を認めた第三者調査は何だったのか」──。当事者の疑問に応える真っ当な説明は、寝耳に水の連絡から1カ月以上が過ぎた今も聴こえてこない。(画像は北方ジャーナル1月号の表紙)
「告発・陸の蟹工船」と題して報じている恵庭市内の牧場で起きた障害者虐待問題の続報にも注目だ。長期間にわたる不当労働行為や年金詐取などが指摘されるこの疑惑で11月下旬、被害を訴える当事者らが起こした裁判が初弁論を迎えた。原告代理人は意見陳述で、地元自治体による問題の放置や隠蔽の疑いを強く批判したが、自治体側は虐待の事実を否定、隠蔽もなかったなどとして争う姿勢を見せることに。3人の知的障碍者を無給で働かせていた雇用主は、被告の認識では「里親」だったのだという。
現職警官が、こともあろうに自分の職場である道警を損害賠償で提訴するという事件が起きている。趣味のモデルガンを入手しただけで銃刀法違反の疑いをかけられ、違法捜査の被害に遭った上に職場で不利益な扱いを受けた──。そう訴える声の主は、現職の警察官。「おかしいものはおかしい」の思いに従って11月下旬、職場である北海道警察に損害賠償を求める裁判を起こした。問われた“事件”は不起訴処分に終わったものの、理不尽な被害はその後も回復できていない。「組織を訴えるとは精神異常に違いない」と、今なお不当な扱いが続いているという。
DCMの牙城、釧路にジョイフルエーケーが殴り込みをかける──。釧路市や千歳市、苫小牧市で商業施設が相次ぎオープンする予定だが、中でも釧路に初進出するジョイフルエーケーの店舗面積の合計は2万7780㎡に及び、三井アウトレットパーク札幌北広島を超え、インターヴィレッジ大曲(北広島市)の3万1300㎡に迫る広さとなる。千歳の店舗面積合計は1万9828㎡で、イオンモール旭川駅前と同様の規模になる見通し。苫小牧は店舗面積合計4000㎡弱と小ぶりだが、市内に複数店舗が集積する商業施設の誕生は苫小牧弥生ショッピングセンター以来9年ぶりだ。今月の「住宅不動産情報」では、勃発必至の「DCMvsジェイフルエーケー戦争」の行方や各地の規模やオープン予定を追った。
札幌市内で進んでいた2つの大規模再開発が、このほど完了を迎えた。ひとつは「BiVi(ビビ)新さっぽろ」の開業に伴う教育機関、医療機関、商業施設などが集積した新札幌再開発。もうひとつはかつての商業ビル・ラフィラにかわるススキノの新たな複合商業施設「COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)」の完成だ。開業日は奇しくも同じ11月30日。新さっぽろ含む厚別区は人口減少、少子高齢化の進行、ススキノはコロナ禍による疲弊と、いずれも大きな地域課題を抱えた中での再開発だったが、どうやらいずれもこれらの地域課題解決を目指す上で大きな役割を担っていきそうだ。両者の開業の模様を現場からレポートする。
このほか11月14日、北海道大学のスラブ・ユーラシア研究センターで開かれたシンポジウム「ウクライナ文化の夕べ」を、元朝日新聞記者でジャーナリストの岡野直氏(63)がレポートした記事にも注目。シンポジウムでは同国の女性詩人、ナタルカ・ビロツェルキヴェツさんが戦争の悲しみを思わせる詩を披露したが、2022年に戦時下のウクライナを歩いた岡野氏は当時の模様とナタルカさんの詩を重ねてこの戦争の実態を伝えている。
さらに北海道知事・鈴木直道氏、札幌市長・秋元克広氏、北海道信用保証協会会長・阿部啓二氏のほか都市型水族館として注目を浴びたAOAOSAPPORO(アオアオサッポロ)館長・山内将生氏らへの新春インタビューもオススメ。道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル1月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。
※1月号主要コンテンツ
【報道】
◾️告発・絶望の学府(29)──江差パワハラ自殺・遺族の慟哭。因果関係否定で「頭が真っ白に」
◾️告発・陸の蟹工船(3)──障害者虐待問う裁判、弁輪始まる。恵庭市は当事者間の雇用関係否定
◾️現職警官が道警を提訴──合法古式銃所持で不当捜査か。「精神異常」扱いで降下評定も
◾️北大のスラブ研でウクライナの有名詩人・ナタルカさんが朗読。明日をも知れぬ恋人たちの運命
◾️道警不祥事から考える(67)──盗撮 少なくとも9回。未発表事案、詳細あきらかに
◾️医療現場で散った命(17)──新人看護師パワハラ死から10年。労災退けられた遺族が病院提訴
◾️BiVi新さっぽろとCOCONO SUSUKINO。札幌市の「2大再開発」が同時期に完了したインパクト
◾️安平町の住民が目の当たりにした産廃処分場の建設予定地。付近は胆振東部地震の地滑り地帯
【ニュース】
■野次排除訴訟に支出375万円。道警が二審までの裁判費用開示
■取り調べ映像、裁判所で上映へ。違法捜査国賠で黙秘権侵害立証
■関西電力の「風発計画縮小」を受けて仁木町の住民団体が銀山地区で集会
【シリーズ・住宅不動産情報】14──道内各地の工場・社宅跡地に相次ぎ商業施設
■DCMの牙城、釧路にジョイフルエーケーが殴り込み
【新春インタビュー】
■鈴木直道北海道知事──「新型コロナの5類移行で節目。これから北海道を次の飛躍へ」
■秋元克広札幌市長──「抗い難かった五輪断念の流れ。札幌をGX投資の金融センターに」
■北海道信用保証協会・阿部啓二会長──「コロナ後の経済は回復途上。目指す“頼られる保証協会”」
■AOAO SAPPORO・山内將生館長──「狸小路の新水族館は地域密着で北海道を元気に」
【漫画】
●回顧2023『コロナは去ったが…』(石川寿彦)
【医療】───西尾正道 医師に訊く「がんと放射線」(後篇)
●早期発見の仕組みを作り放射線治療で治す体制を。手術や抗がん剤に頼らないがん治療
【医療】───札幌ハートセンター・藤田勉理事長に訊く
●5月に豊平にもサテライトを開設。分院を網羅して札幌全域をカバー
【緊急提言】㈱あかりみらい代表取締役 越智文雄氏
●蛍光管製造禁止! 北海道が日本の最後尾にならないために
【農業】
●“農と食”北の大地から(203)──代替肉や培養肉の登場で畜産はどう変わるか
【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(100)──ひとり暮らしを始めた大橋伸和さんのケースから
●戦争遺産をめぐる旅(97)──樺太と結んだ海底ケーブル、知られざる猿払電話中継所