北方ジャーナル」2023年10月号がきょう9月15日から店頭に並んだ。今月のトップは、検証報道「障碍者から年金詐取の疑い──恵庭の牧場などに賠償請求」だ。知的障碍のある人たちが劣悪な環境で休みなく働かされ、計5千万円以上の年金を詐取されていた。当地の自治体は5年以上前にその疑いを把握していたが、障碍者たちの雇用主が元議員であると知り、見て見ぬふりを決め込んだ──。そんな告発の声が上がったのは、8月下旬のこと。語られる被害が事実なら、およそ信じ難い人権侵害が、否、あきらかな犯罪行為が長期間見過ごされてきたことになる。舞台は札幌近郊の恵庭市。言うまでもなく、この21世紀の出来事だ。(画像は北方ジャーナル10月号の表紙)

 “核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた「文献調査」が終わった後志管内寿都町で注目されているのが、10月3日に投票を迎える町議選だ。本号では“核のゴミ”レポートとして立候補予定者の顔ぶれや核ゴミ問題をめぐる町議会の経緯、事前調査の行方など同町議選の周辺を取材・報告するほか、「もうひとつの争点」として、出馬する新人候補が追及する片岡町政の死角をレポートする。寿都に生まれ近年故郷にUターンしてきた異色の新人・田原誠氏(74)は、核のゴミ持ち込みに反対するひとりだが、「そもそも問題の本質は片岡町長が長期独裁を敷いてきた弊害にある」として独自に調査・追及を続けている人物。核のゴミ問題の影に隠れた、地元の社会福祉法人徳美会がらみの片岡町政の死角とは──。

 東京の大手総合商社双日が、小樽市と余市町にまたがる毛無山周辺の国有林に計画していた風力発電施設の建設は、既報のように小樽市長の反対表明で6月中旬、中止に追い込まれた。この結果を受けて、住民団体「小樽余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会」が9月2日午後、小樽市内で市民報告会を開いた。集会では「最高の結果」と評価する一方で、仁木や余市町、石狩湾など周辺地域で進む風車の建設計画に反対していくため、同月23日に新たな住民団体を立ち上げることを明らかにした。

 住宅不動産業界のディープな情報が話題の【シリーズ・住宅不動産情報】。今月は札幌市内の病院、パチンコ店、物販店の跡地がどうなったかについてスポットを当ててみた。禎心会病院跡にスシロー、かつやがオープンし、パーラー太陽跡地には業務用食材のキャロットが開業を予定している。不動産は生き物のように姿を変え街の新たな景色を作っていく。私たちが抱く街の印象は建物によって影響され、これまでの印象と全く違うものになることもある。

 今月号の注目インタビューとしてチェックしてもらいたいのが、「根室・歯舞漁協の乱橋一平さんに訊く」だ。漁師の3代目として活躍する乱橋一平さん(40)。獲った魚をいかにストレスなく締めて、美味しい状態で届けることに日々心を砕く、人一倍「お魚愛」の強い漁師だ。その乱橋さんは最近、札幌の企画会社とタッグを組み、付加価値の高い魚を居酒屋や料亭に直販する仕組みづくりにも挑戦している。将来を見据えた漁師としての取り組みをはじめ浜と顧客をダイレクトつなぐ新たな直販システムとは。

 このほか、エア・ウォーターが陸上養殖の普及を目指す一大拠点「杜のサーモンプラント・東神楽」のレポート、地域に根ざして7周年を迎えたカレスサッポロ「よつば家庭医療クリニック」の取り組みも収録。道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル10月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。

※10月号主要コンテンツ
【報道】
◾️告発! 陸の蟹工船──障碍者から年金詐取の疑い。恵庭の牧場などに賠償請求
◾️“核のゴミ”レポートPART35 最終処分地の選定に影響を与える寿都町議選の行方
◾️寿都町議選のもうひとつの争点──出馬する新人候補が追及する片岡町政の死角とは
◾️双日風車計画中止を勝ち取った住民団体が報告会。「最高の結果」と風力開発が進む現実

【ニュース】
■国内初、郵便局で乗車券販売を始めた網走の足。デマンドバス「どこバス」
■道新労組が会社に説明など要望。局次長急逝問題で組合員に動揺
■独自に掘り下げたゲームの世界観。同人誌発行の荒木聡さんの追悼展
■道立看護学院初の試み、江差で「プチインターンシップ」募集中

【注目インタビュー】
■根室・歯舞漁協の乱橋一平さんに訊く「浜から直接届けるネット産直に活路」

【シリーズ・住宅不動産情報】11────病院、パチンコ店、物販店の跡地はどうなった?
■禎心会病院跡にスシロー、かつや。パーラー太陽跡地にはキャロット

【医療】
●地域に根ざして7周年を迎えたカレスサッポロ「よつば家庭医療クリニック」

【企業】
●エア・ウォーターが陸上養殖の普及を目指す一大拠点「杜のサーモンプラント・東神楽」
●北一ミートの田村健一社長が語る成長の理由と軌跡「ミスを怒らずノルマを撤廃」

【寄稿】
●ゼロカーボン実現への課題(㈱あかりみらい代表取締役 越智文雄氏)
「カーボンニュートラルが間に合わない。いち早く取り組む以外に解決策はない」

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(97)末期がんで亡くなった当事者の半生から
●戦争遺産をめぐる旅(94)開戦を指示した歴史的電文を中継した稚内赤れんが通信所


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