「北方ジャーナル」2022年10月号が本日朝、店頭に並んだ。今月のトップは「道南の北斗市で噴き出した“LED化疑惑”を追う」だ。自治体におけるカーボンニュートラルの1丁目1番地として注目されているのが、公共施設における照明設備のLED化である。この中で道南の北斗市(池田達雄市長)が最近手掛けた総額1億1800万円弱のLED化事業が大阪の照明業者との一者随意契約だったことをめぐり疑義が噴出。今年3月以降、議会が追及に乗り出したほか市民有志が住民監査請求に踏み切るなど内外から注目を集めている。このほど市監査委員会は監査請求を棄却したが、騒ぎはまだ収まりそうにない──。(画像は、北方ジャーナル10月号の表紙)

 恵庭を舞台にした建設工事による擁壁倒壊トラブルをめぐるレポートにも注目。賃貸マンション建設のため土地掘削を行なった際、隣地の賃貸住宅の擁壁が倒壊するトラブルが発生し、擁壁の倒壊防止策の有無などが争われた損害賠償請求訴訟の判決が今年5月、札幌地裁であった。裁判で原告の施主側が「擁壁に安全性がなかった」と主張したが、反訴した被告の賃貸住宅オーナーが「原告側が十分な倒壊防止策を取っていなかった」と反論。裁判所はこの反論を認め、原告側に約500万円の支払いを命じるに至った。実際に工事を行なったのは、千歳市に本社があるマーベラスホーム。裁判所が指摘した業者の倒壊防止策の不備とはどのようなものだったのか──。

 本年1月号の誌面で報告した、刑事事件の取り調べへの弁護人立ち会い促進についての最新情勢も追った。札幌ではこの9月から弁護士会の「推進運動」が始まり、会員らに積極的な実践が呼びかけられた。地元報道ではこれに抵抗する警察の姿勢が問題視され、弁護士らの抗議により関係通達が撤回に追い込まれる事態に。全国に先駆けた“人質司法”解消への一歩は、どれほどの成果を残すことになるのか。現在進行中の取り組みを報告する。

 原子力規制委員会が「安全上問題はない」として7月下旬、福島第一原発の敷地内で増え続ける処理水について、海洋放出を認可したことが物議を醸している。処理水には浄化装置では取り除けない放射性物質トリチウムが含まれているからだ。海洋放出をめぐっては、海洋汚染を懸念する地元の漁業関係者らが強く反対しているが、認可を受け国と東京電力は来春の放出に向けて動き始めた。この中で健康に被害を及ぼすとして海洋放出に警鐘を鳴らしているのが、放射線科医で独立行政法人「北海道がんセンター」名誉院長の西尾正道氏(75)だ。トリチウムはなぜ危険なのか、海洋放出以外に道はないのか、西尾氏に訊いた。

 新たな被害調査が求められている北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題の続報も要チェック、本年8月に入って在学生自殺事案など過去の被害で再調査が始まり、当事者の聴き取りや資料の開示が進んでいることが伝わった。一方、未だ関与教員からの謝罪を得られていない被害者もおり、また長期間の通院を余儀なくされている元学生からは改めて充分な補償を求める声が。真っ当な被害回復は、今なお道半ばにあると言ってよい。

 そのほか、地方紙「ネムロニュース」における船出直後の波瀾の続報、自民の保守グループが百年記念塔を視察して「解体ありき」に疑問を投げかけたニュース、創刊50周年特集として掲載した鈴木翁二へのインタビューや本人の名作漫画「花嫁」などもオススメ。本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル10月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。

※10月号主要コンテンツ
【報道】
■道南の北斗市で噴き出した「LED化疑惑」を追う──1億円を超える発注事業で大阪の業者と随意契約
■地元法曹たちの挑戦〈2〉──「立ち合い」拡大問題で道警が取り調べ同席「認めない」通達を撤回
■恵庭発・賃貸住宅の擁壁倒壊をめぐる損賠訴訟の顛末。業者の不備、杜撰工事を暗に指摘した札幌地裁
■告発・絶望の学府〈18〉──ハラスメント告発から丸2年、道立看護・待たれる真の救済
■放射線治療の大家・西尾正道氏にトリチウムの危険性を訊く──「処理水の海洋放出に強い危機感」
■無作為の看護師に母親を「殺されかけた」看護師が告発本を出版「低血糖患者はなぜ放置されたのか」

【ニュース】
■幌延めぐる40年の歴史を教訓に寿都・神恵内の「概要調査」阻む
■道5区・和田衆議も所属する自民保守グループが百年記念塔を視察
■組合員の解雇断行、社宅退去へ。労使間緊張続くネムロニュース
■無罪事件めぐる公判検事の急逝、最高検が「存否応答拒否」を撤回
■「一審判決の前に戻りたくない」「結婚の自由」訴訟、高裁で陳述
■「道は誤った解釈に固執、拘泥」SOGIハラ訴訟で原告が指摘

【特別企画】創刊50周年記念特集(5)北方ジャーナルと伴走する漫画家たち
◇「ボクがひとコマ漫画を愛した理由!」石川寿彦
◇鈴木翁二特別インタビュー──伝説の漫画家、その人生と横顔
◇特選漫画館「花嫁」鈴木 翁二

【地域経済】
●札証新規上場IT2社のトップが語る「北海道愛」──発想を発酵させる“大地の力”

【企業】
●サッポロビールの原料のふるさとを巡る──ホップと大麦を育む上富良野町

【自治体】
●2期目に乗り出した余市町の齊藤啓輔町長に訊く「批判されても何より公益を優先」

【社会福祉】
●岩見沢発──障害者の喜び、やりがいを生む“アール・ブリュット”の広がり

【文化】
●劇団うみねこ元代表の吉川勝彦さんに訊く【3】「衰えない作品上演への意欲」

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(85)──居場所事業「ヒュッゲ」の集いから「もし両親がいなくなったら」
●“農と食”北の大地から(193)──国の「みどり戦略」を追い風に広がる有機農産物の学校給食
●戦争遺産をめぐる旅(84)──“あの時の悲劇”を今に伝える広島市内の被爆建造物

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