「北方ジャーナル」2021年10月号が15日、店頭に並んだ。今月のトップは、これまで報じてきた旭川市に本部を置く社会福祉法人かがやき(岩崎正則理事長)についての続報だ。法人内部のコンプライアンスやガバナンスのあり方をめぐって旭川市の指導監査課が6月7日、「かがやき」に対して抜き打ちの特別監査に踏み切ったことは7月号で既報の通り。この特別監査が続けられている中で判明したのが岩崎理事長主導による同社福における理事の大量入れ替えだ。社福の理事は企業で言えば取締役の地位に相当する立場。「かがやき」の中でいったい何が起きているのか──。(画像は、北方ジャーナル10月号の表紙)

 道内最大マスコミ、北海道新聞の内部危機を追った報道第三弾「どうなる、道新」にも注目だ。取材目的で公共施設に“侵入”した新聞記者の逮捕が伝えられてから、まもなく3カ月。同記者の所属する北海道新聞はこの9月に初めて「全社説明会」を開き、編集局幹部らが2日間にわたって事件当時の状況などを報告した。だがその内容はこれまでの説明と変り映えしないものとなり、参加者の質問に幹部が“逆ギレ”する一幕も。社への不信は現職の記者のみならず来春採用予定の内定者にまで波及、事態に収拾をつけるには程遠い状況となっている。

 道内の医療関係者が高い関心を寄せる、道立看護学院の教員らによるパワーハラスメント問題を追う調査報道。今月の第6弾では最初の被害告発から丸1年が経過する中で、なお出口の見えない状況をレポートする。現場の江差では後期授業の一部がすでに開講、直前にそれを知った学生があわや単位取得を逃がしかける事態も起きている。地元議会では継続して問題追及の声が上がっているものの、担当課の動きは事実上第三者委員会の調査終了待ち。被害学生たちの救済策は、未だその概観さえ見えていない。

 菅義偉首相の退陣表明により自民党の新総裁レースが俄然熱を帯び、来たる衆院総選挙も風雲急を告げている。そんな中で特集を組んだのが道内選挙区で出馬を予定している注目候補予定者へのインタビューだ。自民党道連会長・伊東良孝氏(7区)や立憲民主党道連代表・逢坂誠二氏(8区)をはじめ総勢6人をピックアップ。コロナ禍からの再生を目指す我が国、そして北海道への処方箋とは何か。併録した識者による北海道の政治史解説とともに、それぞれの主張に耳を傾けてもらいたい。

 このほか寿都町における「核のゴミ文献調査受け入れ」を追うレポートにも注目。“関ヶ原”となる町長選(10月26日投開票)をほどなく迎える地元の住民たちは、いまどんな思いを抱えているのか。そして片岡春雄町長の本音とは。本号ではルポタイターの滝川康治が両者に取材し、じっくり耳を傾けている。さらに北海道農業の可能性と課題を探る新シリーズ「アグリレポート」では岩見沢のスマート農業を紹介。ロボット農機の驚異の進化と実力を取材し、最先端技術で拓く地域農業の未来を考えてみた。我が国におけるコロナ禍の処方箋を新たな視点で説く日本除菌連合会長・越智文雄氏による緊急寄稿などもオススメだ。
 本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル10月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下方にある同誌のバナーをクリック。

※10月号主要コンテンツ
【報道】
■旭川発「社会福祉法人かがやき」検証〈3〉─体制刷新か追い出しか。岩崎理事長が理事を大幅入れ替え
■地元紙・80年めの迷走〈3〉─どうなる、道新。初めて全社説明会、不信の声は採用内定者からも
■告発・絶望の学府〈6〉─告発1年、救済見えず。江差看護で後期の一部が開講。パワハラ問題で議会追及続く
■医療現場で散った命〈13〉─「安心できる職場に」看護師パワハラで証人尋問、医師は当事者との接点否定
■スクールガードの素顔〈3〉─スクールガード、有罪。元警官、強制わいせつ認める
■21世紀の人質司法─「これは氷山の一角だ」黙秘権侵害、私物“点検”弁護士会が道警に抗議
■予算不足に苦しむ小樽犬管理所〈2〉─迫市長の改善指示でも変わらぬ保健所の旧態依然
■“核のゴミ”レポートPART24─海と生きるか核に頼るか。寿都町長選を前に問われる住民意識

【2021衆院総選挙特集】
■北海道政治史から衆院選を読み解く。内輪揉めする保守勢の隙を突いてきた革新勢。自民に逆風も首相退陣で混沌は必至
■注目候補予定者に訊く─【7区】自由民主党道連会長・伊東良孝氏/【8区】立憲民主党道連代表・逢坂誠二氏
【3区】自由民主党・高木宏壽/【3区】立憲民主党・荒井優氏/【6区】自由民主党・東国幹氏/【6区】立憲民主党・西川将人

【ニュース】
■コロナで打撃を受けた函館観光に「北島三郎記念館閉館」の追い打ち
■帯広の東洋と勝毎が異色のタッグ。求人媒体の「とかちジョブ」を創刊
■札幌「SOGIハラ訴訟」初弁論。同性と事実婚の元道職員が陳述
■ホーム企画センターを引退した青木雅典氏が86歳で新ビジネス
■コロナ禍で外食業界が苦しむ中マクドナルドが強気の道内出店

【コロナ緊急寄稿】
■いま攻めの姿勢に大転換を─科学的知見に基づく武器を持て
越智文雄氏(日本除菌連合会長)

【経済】
●コロナ禍が促すホテル旅館業界の新陳代謝。ジワリ変わる業界地図
●ホテルオークラ札幌閉館で宮崎社長が語る胸中「またお会いする日まで」
●岩見沢市「スマート農業」の可能性。「ここまで来たロボット農機の実力」

【医療】
●地域がん診療連携拠点病院の恵佑会札幌病院が移転オープン「新時代に合わせレベルアップ」

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(73)─ぼそっと池井多さんを迎えた「ひきこもり親子 公開対論」から
●戦争遺産をめぐる旅(74)─戦争を支えた巨大な兵器工場跡、愛知県の「豊川海軍工廠平和公園」

【新連載小説】
●特別授業 林 秋映



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