「北方ジャーナル」2022年8月号が15日(一部書店は16日)から絶賛発売中となっている。今月号のトップは、本誌独占の道警不祥事問題「道警・旭川方面の副署長 相継ぎ自殺か」。5月末から6月にかけて、北海道警察・旭川方面の2警察署で副署長の急逝が相継いだ。ともに50歳代後半の男性で、階級は警視。1人は暴力団捜査など刑事部門で実績を積み、もう1人は警備・公安畑を長く歩いた。前者にかかわる“事件”は報道大手の取材で周知の事実となったが、後者の話題はほぼ表沙汰になっていない。時期の重なりは偶然だった可能性が高いものの、同じ管内で同じ役職の警察官の訃報が続くのは異例の事態といえるだろう。2人の副署長に、何があったのか──。(画像は、北方ジャーナル8月号の表紙)

 この春に産声を上げたばかりの地方紙「ネムロニュース」における船出直後の波瀾を追ったレポートにも注目だ。旧根室新聞を引き継いだ新興メディアの舞台裏で混乱が続いている。発端は、労働環境の改善を求めて組合を結成した記者たちが取材・執筆の現場から逐われた異例の人事。創刊時の過重労働などを訴えていた記者らは問題を労働当局に持ち込み、6月末には賃金未払いの是正勧告に到った。7月に入ってからは労働委員会への救済申し立てが受理され、労使間の緊張はなお続きそうな様相。紙面の劣化を指摘する声も聴かれる中、生まれたばかりの新聞社で勃発した騒動を追う。

 公益社団法人北海道観光振興機構(本部札幌)の新会長にコールセンターを運営するアイティ・コミュニケーションズ(本社札幌)の会長を務めている小金澤健司氏(62)が就任した。だが、このトップ人事を多くの関係者は驚きをもって受け止めた。同氏が観光業界はもとより経済界でもあまり顔が知られていない人物だからだ。「北海道観光の司令塔」とも言われる振興機構だが、期待される役割を果たしていないことは多くの関係者が認めるところ。同氏に託された役割は、まさにその司令塔機能を創造することにある。新会長に託された解体的出直しとは。

 新たな被害調査が求められている北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題の続報も要チェック。道が昨年設けた第三者調査委員会とは別のメンバーによる調査チームが発足する可能性が浮上した。教員によるパワハラを苦に自殺したとみられる在学生の事案で、遺族の申し入れを受けた道が設置の検討を進めているという。同事案では事情を知る卒業生らも証言に名乗りを挙げており、一連のパワハラ問題で最悪の被害にようやく真相解明のメスが入り始めた。

 そのほか、本誌が創刊50周年を迎えた記念特集は「内部告発」をテーマに編集。各界からの提言や談話のほか、2008年当時の注目記事、原田宏二氏(元道警釧路方面本部長・故人)と赤羽喜六氏(ミートホープ元常務)による「内部告発は社会を変えられるか?」と題した対談を再録した。本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル8月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。

※8月号主要コンテンツ
【報道】
■道警不祥事から考える〈57〉──旭川方面で異例の事態。副署長 相継ぎ自殺か
■道東・新興メディアの舞台裏──労使間トラブルのネムロニュースに労基が是正勧告
■北海道観光振興機構の新会長に小金澤健司が就任。求められる解体的出直し
■告発・絶望の学府〈16〉──江差看護・パワハラ死解明へ、第三者委新たに設置か
■首相批判封殺の波紋〈23〉──「判決、確認していない」野次訴訟、公安委には他人事
■風力発電を検証する横断組織「北海道風力発電ネットワーク」設立
■“核のゴミ”レポートPART33──原子力マネーに頼らぬ地域振興プランを住民が模索

【ニュース】
■バス事故「起訴違法」に国が控訴、国賠訴訟二審、札高裁で初弁論
■裁判所が「文提」命令に慎重姿勢、取り調べ映像開示判断、先送り
■地元検察トップが相継いで着任、札地検に2代続いて女性検事正
■読売の女性記者が万引きで逮捕、周囲からは適切なケア求める声
■同性パートナー扶養認定を調査、少なくとも30超の自治体が運用
■閉店したパンの「HOKUO」が復活、実父との確執乗り越え西区で新創業
■キャリアバンクグループの日本語学校が佐賀のキャンパスで入学式

【特別企画】創刊50周年記念特集(3)
▼【提言】ほくていホールディングス会長・加藤欽也▼【提言】光ハイツヴェラス社長・森 千恵香▼【特別談話】キャリアバンク社長・佐藤良雄▼【再録・特別対談】原田宏二(元道警釧路方面本部長)×赤羽喜六(ミートホープ元常務)

【介護福祉】
●北海道友愛福祉会の新理事長・市川茂春氏に訊く「半世紀に亘る法人のレガシーを次の世代に伝える」

【金融】
●道内20信金3月期決算を数字で読み解く「ゼロゼロ融資一巡で貸出金が減少」

【経済】
●制限解除後の経済を牽引する道産子事業者のものづくり力「コロナ禍に反転攻勢」

【お盆特集】
●変わりゆく現代のお墓事情「進む簡素化と低価格化の流れ 変わらない供養の心」

【文化】
●劇団うみねこ元代表の吉川勝彦さんに訊く【1】「芝居と教育に捧げた58年」

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(83)─小樽市に見る「支援」をめぐる行政と民間のズレ
●戦争遺産をめぐる旅(83)─見学者の心を激しく揺さぶる改装後の広島平和記念資料館

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