「北方ジャーナル」2021年3月号が本日15日、店頭に並んだ。今月のトップは、いま全国から注目を浴びる旭川医科大学の深層レポート。吉田晃敏学長(68)の暴走が止まらない。古川博之病院長(当時)のコロナ患者受け入れにストップをかけ、クラスターが発生した市内病院には「なくなるしかない」と暴言。本人のパワハラ発言を受けて文科省が調査に乗り出す中で、今度は古川病院長を解任する荒技に出た。同大学OBから吉田学長のリコールを求める声が上がり、患者や教員からは訴訟を起こされ、ついには学内の教授らが「吉田外し」に動き始める事態となっている。この一連の混乱の背景には14年もの長期政権の中、独裁人事で組織のガバナンスを破壊してきた吉田学長の大きな誤謬があるのではないか。本稿ではその独裁人事の実態に迫る。(画像は、北方ジャーナル3月号の表紙)

 旧優生保護法下で不妊・中絶を強いられた人たちが国を訴えた闘いにも注目だ。このほど北海道の原告2組が相継いで敗れた。札幌の男性の訴えを退けた裁判所は今回、その判決で新たな違憲判断を示したが、道央の夫婦が起こした訴訟はほぼ門前払いとなり、原告代理人から「最低最悪」と酷評される結果に。司法の救いはまた遠ざかり、国の罪は残り続ける。「原告の請求を棄却する」――。世紀を跨いだ被害の訴えに司法は耳を塞いだのか、あるいはもとより聴く耳を持たなかったのか。

 例年この時期に報告している地元警察の年間不祥事記録だが、2020年の速報値は前年の実績に較べて4割増の結果を示した。通年の「公表率」についてはまだ確認できていないが、未発表が疑われるケースの中には連続5件の交通違反や小売店での万引きなど、警察官以外の公務員ならば公表の対象となり得る法令違反が。北海道ならではの“警察特権”は、20年代も盤石のようだ。

 このほか大雪による人的被害が例年に比べ突出している岩見沢レポート、中川町エゾシカ疑惑の続報、日本製紙撤退に揺れる釧路のキーマンたちが再興に向けて語る地域特集などもオススメだ。北大敷地内薬局誘致“出来レース”疑惑や前号で詳報した深川市立病院問題の続報も要チェックを。

 本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル3月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下方にある同誌のバナーをクリック。

※3月号主要コンテンツ
【報道】
■迷走する旭川医大──ガバナンス崩壊の実態。独裁人事で墓穴を掘った吉田学長の“誤算と誤謬”
■優生思想の罪、法廷へ〈9〉強制不妊、違憲判断は一歩前進。中絶訴訟では「最低最悪」判決
■道警不祥事から考える〈49〉違反5連発、未発表、懲戒処分など前年比4割増
■「戦闘」あったのか―PKO訴訟「文書提出」却下「自殺」文書は一部開示決定
■市も“異常”と捉える岩見沢の大雪。例年に比べて突出する人的被害
■中川町エゾシカ疑惑を追う──「露と消えた1億円の資金」町の幹部が明かす道警捜査と顛末
■核のゴミ──「リコールの会」が文献調査賛成町議の解職へ方向転換

【ニュース】
■札幌検審「野次排除」文書不開示、本誌記者の請求に「存否」答えず
■「そしあるハイム」火災から3年、困窮者支援「なんもさ」体制一新
■氷点下の札幌でホームレス調査、市内総数、昨年度上回る見込み
■栗山署で新型コロナ10人超感染、道内初の警察署クラスター認定
■日赤・医師の発言に矛盾の指摘、パワハラ訴訟で遺族の追及続く
■札幌地検検事正に恒川氏が着任「基本に忠実な検察権の行使を」
■業者との癒着を告発した深川市立、病院の技師が異動取消を求め提訴
■北大敷地内薬局出来レース疑惑で内部調査の結果はいつ出る?
■発熱で議会を欠席した中川町副議長が町の温泉を利用し厳重注意処分

【道東・釧路特集】
●伊東良孝衆議に訊く──コロナと製紙工場撤退の危機を乗り越え釧路を再興へ
●蝦名大也市長に訊く──“ひがし北海道”連携をより強化し、経済停滞の打破を
●サンエス電気通信・宮田昌利社長に訊く──これからが新しい挑戦への好機

【ウイルス対策最前線】
●北海道医師会 長瀬清会長に訊く「思いやりの心で感染予防に取り組む国民性に期待」
●緊急寄稿②──越智文雄氏「コロナ禍と除菌対策。濡れ衣を着せられた次亜塩素酸水溶液」

【医療】
●札幌心臓血管クリニックで手術支援ロボット「ダヴィンチ」が本格稼働
●コロナ禍でも乳がん患者に寄り添うさっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック

【教育】
●2022年春の開校を目指す長沼町「まおい学びのさと小学校」に注目

【経済】
●高齢化と後継者難で「味の時計台」「大黒屋」「ボイトンベイク」が相次ぎ事業承継

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(66)──居場所事業の可能性と課題を語り合う「寄り添いと共感の場に」
●戦争遺産をめぐる旅(67)──津軽海峡に眠る135人を悼む大間崎「豊国丸戦死者忠霊碑」



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