旭川医科大学の新学長に副学長だった西川裕司氏(62)が4月1日付で就任、同日、同大学内で記者会見を行った。(写真は、ラテン語で「ゆっくり急げ」の座右の銘を掲げ、「開かれた大学を目指す」と語る西川新学長)

 同大学では、2007年7月に学長に就いた吉田晃敏氏(69)が約14年間にわたりポストにとどまった。長期政権は組織の淀みを生み、吉田学長にとって耳障りの良い情報が優先され、独裁的なガバナンスが生まれる土壌になっていった。2020年末には、吉田学長は新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを巡って意見が対立した同大学病院長を解任。これをきっかけに、パワーハラスメントなどの不適切な発言・行為など様々な問題が噴出してきたのは周知の通り。

 同大学同窓会などから、吉田学長の解任請求を求める署名が同大に提出され、2021年6月、学長選考会議は解任を決議して文科相に解任を要請した。一方、吉田学長は、その直前に辞任届を同相に提出。解任か、辞任かで揺れた旭医大だったが、北海道大学の総長解任問題で訴訟を抱える文科省は、旭医大学長解任には慎重にならざるを得なかったようだ。結果、新年度を目前に控えてしびれを切らした学長選考会議は2022年2月、解任請求を取り下げ、吉田氏の辞任が認められた。
 学長選考会議は、2021年11月に、次期学長に西川副学長を選任。吉田学長解任を受けて新学長就任というストーリー通りには進まず、ストンと落ちないもやもやを抱えながらの新学長就任となった。

 記者会見で西川氏は、「独善的なガバナンスを排し、自由にディスカッションできる雰囲気をつくり、教職員や学生、市民の意見を反映できる、開かれた大学」、「教育と研究を軸とした大学運営」、「信頼回復を図り、地域医療に貢献する大学」を目指すと強調、脱吉田カラーを鮮明にした。人事面では、4人の理事を全員交代させ、9人いた副学長も5人に減らした。新たな理事には、同大学脳神経外科出身で名寄市立病院長を務め、広域医療に詳しい佐古和廣氏、元副知事の辻泰弘氏も起用。また、吉田学長によって解任された同大学病院長だった古川博之氏が復帰するとともに、働き方改革担当の副学長・理事に就任した。教育と研究を担当する副学長や、広報担当の副学長も置いた。

 文科省に辞任が認められたことを受け、吉田前学長が3月初めに東京で開いた辞任会見で、同大学との関係を「是々非々で続けたい」と述べたことに対し、西川新学長は「想像することもできない」と強い調子で全面否定。また吉田氏に対し「名誉教授」の称号を「大学を混乱に陥らせた」として、与えないとした。さらに、不正経理問題の刑事責任については「内部で調査して検討している」と述べた。当然、退職金問題にも波及していくだろう。「解任」を果たせなかった学長選考会議や西川新学長など執行部は、「解任」以上の厳しい忌避感を吉田前学長に注いでいる。



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