北海道大学前総長(学長)の名和豊春氏(66)が、国と北大を相手取り解任処分の取り消しと約1460万円の損害賠償を求めて提訴した裁判で2月22日午後、第1回口頭弁論が、札幌地裁の805号法廷で開かれた。(写真は、公判後に記者会見に臨む名和氏と弁護団=右から佐藤弁護士、名和氏、小野寺弁護士、2月22日午後、札幌弁護士会館5階で)
この日、傍聴人でほぼ埋まった805号法廷の証言台に立った名和氏は、意見陳述で「昨年6月30日に文科相が行なった総長解任処分を取り消してもらうと同時に、審理を通じて北大が密室の中で行ない今なお明らかにしようとしない解任手続きの真相を追及したい」と前置きし、「全てがパワハラありき、解任ありきで進められた」として北大の一連の対応を批判。「これは私個人の権利や利益の問題をはるかに超えて、北大の自由と民主主義の伝統、学長を含む教員人事全体の透明性や大学自治に関わる重大な問題だ」と訴えた。
続いて名和氏の弁護団を代表して佐藤博文弁護士(札幌弁護士会)が、本訴訟の意義などを陳述。この中で佐藤弁護士は、北大側に大きく二つの問題があると指摘。「一つは解任手続きがブラックボックスの中で行なわれ透明性が全くないこと。もう一つは解任理由や証拠の開示をはじめ反論機会の保障など、遵守されるべき手続きがなされていないことだ」と説明し、本件は北大の秘密主義、隠蔽体質との闘いであることを強調した。
被告である国と北大が意見陳述を次回に持ち越したことで、今回は原告側の小野寺信勝弁護士が「訴状の要旨」を陳述して閉廷。その後、札幌弁護士会館で開いた記者会見で名和氏は「今日、被告席を見た時、これから法廷の場で正々堂々と闘うことができるようになったと思い、むしろ心が穏やかになった」と話した。次回公判は6月14日午後2時から同じ805号法廷で開廷予定。(北方ジャーナル提携記事)