IMG_1782 電気料金の再値上げが確実な情勢になってきた。北海道電力の川合克彦社長は、30日の2014年3月期の決算発表で電気料金再値上げの申請時期について、「夏ころに判断する」とし、遅くとも9月には国に申請する考えを示した。料金改定には3~4ヵ月かかるため、年末年始が再値上げ実施時期となりそう。記者からの「夏とは何月か」と再三聞かれた川合社長は、「夏は夏」と3度繰り返した。(写真は、決算発表する川合克彦社長)
 
 北電の14年3月期決算は、経常損失953億7000万円、純損失629億7200万円で3期連続の大幅赤字だった。今期は350億円の社債償還や長期借入金返済があるため下期に新規の資金調達をしなければ損益悪化はさらに深刻になる。
 
 資金調達を確実にするためには泊発電所の早期再稼働の確実な見通しを示すか、電気料金値上げによる収益改善に向けた取り組みを示すことが必要になる。
川合社長は、「引き続き泊発電所の再稼働時期を見極めて行くとともに、今後もあらゆる収支対策の努力を継続していくが、夏ごろまでかかっても泊発電所の具体的な再稼働時期の見通しが得られない場合には、大幅な再稼働の遅れは避けられない。そうなれば資金調達が難しくなり電気の安定供給にも支障を生じる恐れがあるため再値上げの申請について最終的な判断を行わざるを得ない」と語った。
 
 下期に行う資金調達の準備には1~2ヵ月かかるため、夏ごろには値上げ幅を含めた料金改定の申請を行わなければ間に合わないことになる。
 再値上げ回避の可能性については、「状況が変わって泊原発3基がすぐ動くことになれば再値上げ回避はあるとは思うが、今の時点で考えるとなかなか難しい。スプレー配管の工事が数ヵ月必要だし、九州電力川内原発が夏ごろ(の再稼働)という状況の中で弊社を見てみると再値上げが必要な可能性の方が高い」(川合社長)
 
 再値上げの幅については明らかにしていないが、会見の中から見えてきたのは赤字構造の解消に繋がる自助努力によるコスト圧縮で賄いきれない部分。川合社長は、「本来の事業活動である電気事業で黒字になっていないとまずい。本来的には営業利益で黒字が必要だが、百歩譲って経常利益ベースで黒字になるのが望ましいと思っている。そこで黒字に持って行くためには(自助努力以外に)値上げが必要。経常利益段階で黒字に持って行かないと基本的な赤字構造は解消されていないということになる」と述べた。
 値上げ申請から実施に移るまでに3~4ヵ月必要で9月に申請ということになれば年末年始から再値上げが実施されることになりそう。
 
 泊原発の全3基停止から5月5日で丸2年になることについて問われた川合社長は、「再稼働見通しが立たず疲れますね」と前置きし、こう答えた。「当初こんなには長くかかるとは思っていなかった。疲れが募ってくるととげとげしくもなってくる。お客様の心情を良くわきまえてこれからも説明していかなければならないと思う。こっちの方が同じになっていたらまとまるものもまとまらない。私どもは原子力を動かすことが北海道のためになると思っているので何とか理解を頂きながら実現させたいと思っている。ただ、本当に相手のあることでなかなか進まないのはもどかしい。社員も疲れている中、頑張ってやっているのに、さらに頑張れと言うのは辛いところだが、我々がやらないと物事は前に進んで行かない。頑張っていきたい」

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