介護福祉の雇用ミスマッチが大学学部間のミスマッチを引き起こしている

道内大学・教育

雇用のミスマッチのひとつが介護分野だ。ニーズは多いのに、そこで働く人が少ない。高齢化の進展が加速度的に進んでいることから、介護需要は拡大必至。政府が新成長戦略の一角に介護領域を据えているのに、働こうという人が少ないのは、雇用のミスマッチというよりも政策不在といったほうが良いかも知れない。


北翔大学の鈴木弘泰理事長は、「介護福祉の分野は、以前は老人ホームや保育園など市町村がやっていたが、介護保険ができて株式会社が多く参入してきた。その結果、そこで働く人は時間給の世界になってしまった。最低賃金法で定められた賃金に近いような職場では、そこで働こうと思う人は少なくなって当然」と言う。
介護福祉の職場で働こうと思う人が少なくなってくると、介護福祉系の学部を持っている大学の入学者も少なくなるという玉突き現象が起こっている。
雇用のミスマッチは、大学入学者のミスマッチも引き起こしているというわけだ。
再び鈴木理事長の話。
「保育や体育の学生は集まるんですよ。小学校や幼稚園の先生になったり体育の先生やスポーツの指導者を養成する学部の人気は高い。でも、福祉系の学部は学生数がなかなか充足されません」
同大を出て、養護教員や体育教員になる学生は多いといい、同大出身者が全体に占める割合は高い。
「学部間のミスマッチは強烈だと思います。介護福祉を学ぶ学部に学生が集まらないのは寂しいですよ」(鈴木理事長)
介護が必要な高齢者は、今後も増え続けると見られるが、こうした分野の仕事を外国人ばかりに頼るわけにはいかないだろう。雇用のミスマッチを解消する政策出動が強く求められる。

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