11月に旭川医科大学の次期学長に選任されている西川祐司副学長(61)が12月1日、記者会見を開き、今後の大学運営方針を明らかにした。(写真は、次期学長に就く西川副学長)
旭川医大は、吉田晃敏学長(69)による病院長へのパワーハラスメントや不正支出などの不祥事が続いたことから、同大学長選考会議は6月に文部科学省へ吉田学長の解雇届を提出。その直前に、吉田学長は同省に辞任届を提出するなど混乱が続いている。同省による解任か、辞任か、の判断には時間を要するため、学長選考会議は11月、次期学長に西川副学長を選出した。
その西川氏が12月1日、就任前だが学長に選出されたことを受けて記者会見を開いた。西川氏は、「本学は開学以来、最大の危機に瀕している」とし、「ガバナンス不全が続けば大学の存続が危ぶまれる」と強調。「本学の再生は、吉田氏の影響力を完全に排除することでのみ可能だ」と断言した。
さらに、「これまでの大学運営の方針は、学長と学長政策推進室で決められており、大学運営会議はそれを追随するだけだった。このような独善的、恣意的なガバナンスを廃止する」と述べた。新たに看護学科長を加えた大学運営会議のメンバーには、「誠実で公の立場から真摯に大学運営を考え、学長に対しても的確で建設的な、批判的意見を述べる人にお願いする。忖度のない自由な意見集約ができる会議体を実現する」と話し、学長政策推進室の廃止と民主的な大学運営を目指す方針を示した。
記者から「副学長として学長を支えてきた立場だった。責任はないのか」と問われたことに対し、「学長を支えるという気はなく、大学の研究と教育を支えるという気持ちで副学長を引き受けた。私は、学長が大学のガバナンスをないがしろにしたことを非難する」と答えていた。吉田氏の不正支出については、「再調査はしないが、大学として責任を追及する」と話し、病院長の指名については「病院長選考委員会が選考した方々の中から(学長就任後に)指名する」と語った。
その上で、「教育の質の向上を図り、優秀で誠実な医療者の育成のため、教務厚生委員会の機能を強化する。科学的探求の精神が医療レベル、倫理観を向上させる鍵」として、研究戦略企画委員会を再編成する具体的方針を示した。最後に、「開校時の基本理念に立ち返り、誇りを持てる大学に再興できるよう全力で取り組む」と語っていた。