北洋銀「市民医療セミナー」で浅香正博教授が講演、「がんはどこまで予防できる?」

医療関係

 北洋銀行(本店・札幌市中央区)と北大大学院医学研究科がん予防内科学講座の連携事業である「市民医療セミナー」2014年度の最終回が20日、北洋大通センター4階のセミナーホールで行われた。8回目となる今回は、同講座特任教授の浅香正博氏が『がんはどこまで予防できるのか?』をテーマに約1時間講演、参加した市民80人は、耳にスッと入ってくる独特の“浅香節”に聴き入った。IMG_2596
 
 「市民医療セミナー」は、北洋銀と北大大学院医学研究科がん予防内科学講座が11年度から市民を対象に始めたもので、コーディネーター役は浅香教授が初年度から務め、北大大学院医学研究科の教授陣などが最新医療について分かりやすく解説するのが特徴となっている。
 
 14年度の最終セミナーとなった8回目は、浅香教授が自ら講師役を務めた。難解な医学用語を使わず誰にでも分かるような言葉に置き換えて話すのが浅香教授の語り口。この日もそんな“浅香節”が会場を包み込んだ。
 
「なぜ、がんが増えているのかというと、がんは老化現象のひとつだから。がんは遺伝子の異常から生じる病気なんですよ。人間の身体は60兆の細胞からできていて、その1%、6000億個が毎日死んでは生まれるが、コピーするのにミスが出てくる。それが突然変異。コピーミスは、喫煙、アルコール飲酒、老化によって起きやすくなる。コピーミスになったものががんになっていく」
「日本はがんの早期発見、早期治療という2次予防が中心。もちろん大事なことだがこればっかり言っている。米国は1次予防中心でがんは減ってきている。日本も感染症由来のがんを防ぐ1次予防で例えば胃がんによる死亡者を年間5万人から3万人に減らせる」
「タバコの所管を財務省から厚生労働省にすべきだ」――などなど。
 
 浅香教授は、ヘリコバクター・ピロリ菌研究の世界的研究者。日本人で唯一のマーシャル・ウォレン賞も受賞している。講演終了後には、会場からの質問を受け付け、「ピロリ菌を除菌しても再発する可能性は?」、「バリウムと胃カメラはどちらが良いか」など細かな質問にも、浅香教授は丁寧に答えていた。
 
 11年から始まった市民医療セミナーは、15年度も8回の開催を予定しておりコーディネーター役は浅香教授が継続して務める。ただし、同教授の講演は今回が最後になるという。

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