IMG_9277 北洋銀行と北海道大学は包括連携事業の一環として「市民医療セミナー」を定期的に開催しているが、今年度5回目のセミナーが15日、北洋大通センター4階のセミナーホールで行われた。講師は北大医学部第二内科元教授で現在NTT東日本病院院長の小池隆夫氏(66)。テーマは『知って欲しいリウマチ・膠原病の知識』で市民約100人が聴講、講演後には質疑応答も交わされ小池氏は丁寧に分かりやすく答えた。(写真は講演する小池隆夫NTT東日本病院院長)
 
 膠原病とは、関節リウマチや皮膚筋症などの総称で免疫の反乱によって起こる全身疾患。小池氏は「膠原病は免疫力が高すぎる病気。自己免疫が自分に対して反乱してくるものでサッカーのオウンゴールのようなものだ」としたうえで、代表的な例として関節リウマチについて解説。
 
 リウマとは水が流れるという意味で関節の火事に例えられるが、その原因は今も分かっていないという。右手首に多く発症して2番目、3番目の関節や手首に発症しやすく変形性関節症と間違いやすい。
 
「関節の火事だからボヤのうちに消すのが大事。5年くらい前から超音波で血流が溜まって火事を引き起こしている様子が分かるようになった」と紹介。ただ、超音波を利用した関節リウマチの診断には専門的な知見が必要で、札幌市内でも数か所の医療機関でしか判断することができないという。
 
 治療には、抗炎症剤のステロイドや抗がん剤が抗リウマチ薬として良く効くことが知られているが、20世紀末からバイオ製剤が開発されたことによってリウマチ治療のパラダイムシフトが起こったと小池氏は強調。「関節の火事を引き起こすガソリンのような役目をしているものを抑える効果がある。私も最初はそんなに効果があるとは信じていなかったが、1年間投与した有効率は8割で殆どの人はバイオ製剤で良くなる」と語った。
 
 小池氏は、関節リウマチはこのバイオ製剤によって「痛みを取る治療から寛解が到達可能な治療になった」とした。もっとも、「薬を反対から読めばリスク。良く効くだけにデメリットもあってそれは感染症を合併することや年間50万円程度の薬代がかかってしまうこと。もっと安くならないかと思っている」と述べた。 
 
 その後、全身性エリトマトーデスについても話し、「欧米では免疫抑制剤が治療のトレンドだが、日本では許可されていないものもある。ドラッグラグの状態を何とかしないければいけない」と訴えていた。
 講演後には「白血球が多くなっていることや右手人差し指の関節が痛むのはリウマチか」など参加者の質問にも丁寧に答えていた。


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