札幌市MICE施設2033年度開業、中島公園周辺に総事業費592億円

札幌市政

 札幌市は、コロナ禍で延期してきた中島公園周辺の新MICE(国際会議や展示会など多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称)施設と新ホテルの一体整備について、市と事業者であるグランビスタホテル&リゾート(本社・東京都千代田区)およびサンケイビル(東京本社・同)が、それぞれ建設することとし、2025年度に基本計画を策定、2031年度に着工、2033年度から運用開始を見込むことにした。(画像は、札幌市が整備する新MICE施設のイメージパース)

 当初は、再開発事業手法によって、新MICE施設と新ホテルの一体整備を目指していたが、その後の事業環境の変化を踏まえ、グランビスタホテル&リゾート、サンケイビルとの協議を経て、新MICE施設と新ホテルについて、一体的利用に向けた連携を前提に、市と事業者が、それぞれ建設することにした。

 コロナ禍以降のMICE需要は、コロナ禍前の状況にほぼ回復、既存MICE施設「札幌コンベンションセンター」(札幌白石区)の稼働率もコロナ禍前の水準に戻っており、同センターが、予約を受け付けられなかった件数は、2024年度で365件と、この数年間は、300件を超えている。また、一時増加した対面とオンラインのハイブリット開催も減少、対面開催に回帰している。さらに、コロナ禍を経て、コンベンション機能を有するホテルが相次いで閉鎖、宿泊特化型のホテルの増加によって、市内のバンケット機能が低下している。

 市は、現在、札幌パークホテルが建っている中島公園駅周辺地区が、都市間競争に打ち勝つための訴求力のあるコンテンツを有するMICE施設の最適な立地環境としており、以前の計画通り、この地区での整備を進めることにした。今回、事業手法を変更したことに伴って、景観や周辺環境などを含むMICE施設整備場所としての優位性とまちづくりの観点から、土地取得を決めた。

 施設は、会議と展示を同時に開催できるメインホールの他に、多目的ホールを確保、単館で3000人~5000人、周辺ホテルと連携して、5000人超の学会などを開催できる規模の施設を目指す。メインホールは約2000㎡、多目的ホールは約3200㎡、会議室(15室)は約3400㎡で合計約8600㎡、施設総面積は約3万8400㎡とする。
  
 建物整備費は約487億円、土地取得費は約105億円、事業費合計は約592億円。稼働後の収入は、利用料金収入、備品使用料、駐車場収入を合わせて年間約10億6000万円、支出は人件費、物件費など年間約8億3000万円、運営収支は年間約2億2000万円の黒字と試算。「市有建築物の資産管理基本方針」の目標耐用年数によって、施設の使用年数を80年と想定、新MICE施設の開業によって増加する税収や、運営収支、建物整備費、大規模修繕費、建物解体費などを加味したライフサイクル収支は、約170億円のプラスとみている。土地取得費や「札幌コンベンションセンター」のMICE件数減少分を差し引いても、約30億円のプラス収支と想定している。

 新MICE施設での年間MICE開催件数は、1220件を見込み、札幌市内への経済波及効果は、約492億円と予想。また、約3200人を年間雇用できるだけの就業効果も期待でき、経済波及効果は、10年間で約5000億円と推計している。

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