札幌大通まちづくり会社(社長・廣川雄一札幌四番街商店街振興組合理事長)が、都市再生整備推進法人(略称・都市再生法人)として全国初の指定を受けた。道路や歩道などの公共空間の利用によって賑わいや交流を創出する取り組みがやり易くなるほか、都市再生整備計画を市に提案できるようになり国や市の補助金を直接得ることも可能になる。
 大通まちづくり会社は、既存商店街や大型店が中心になって、まちづくりを総合的に進めていく株式会社として3年前に設立された。都市再生法人の指定によって公共的使命と役割が法的に裏付けされるもので、民間の知恵とノウハウを生かした大通ゾーン活性化に拍車がかかるものと見られる。(写真は南1西4の4丁目プラザ。大通まちづくり会社の都市再生法人指定で大通ゾーン活性化が期待される。)
 
 札幌大通まちづくり会社は、大通ゾーンのまちづくりを自立的、継続的に行うために平成21年9月に設立された。一番街から四番街、狸小路の各商店街振興組合や地下街商店会、大型ショッピングセンター(SC)などが出資、資本金は905万円。札幌市も約3%出資している。
 
 地下街の地上出入り口のスペースを活用したエリアマネジメント広告や都心共通駐車券などの自主事業で収益を得ながら、各商店街と一体となった販促活動を行ったり、歩行者天国、オープンカフェの設置など公共空間の管理・活用、さらに歩道上にサイクルシェアリング(ポロクル)の駐輪スペースを設置する支援などを行っている。
 
 国土交通省は昨年4月、都市再生特別措置法を改正し、都市再生法人の指定をこれまでのNPO法人、一般社団、財団法人に加えてまちづくり会社も対象に加えた。大通まちづくり会社は、札幌市が制定した要綱に沿って応募し昨年12月に全国初の都市再生法人の指定を受けた。
 
 都市再生法人のメリットとして、①法に基づく公的な位置づけが得られる②まちの活性化や利便性の向上を実現するための都市再生整備計画の提案権が付与される③道路占有許可の特例や都市利便増進協定制度などにより、公共空間を活用した収益事業や活性化事業などをさらに発展させるための手段が増える④国や札幌市との連携が一層深まり、重点的な支援が受けられる――など。
  
 この中で特にまち会社の収益に結びつくのは、道路占有許可の特例。道路空間を使う場合には制限や縛りが厳しいが、利便性や賑わいを創出するために都市再生法人が利用する場合は、占有許可を弾力的に運用することになっており、公共空間を利用した収益事業の幅が広がることにつながる。
  
 また、大通ゾーンの大型SCは老朽化が進んでいることから、将来的な建て替えを睨んだ調整役として都市再生法人のメリットを活かしていく考え。 
 
 一方、札幌市では路面電車の延長・ループ化に伴う公共空間の整備、不足している駐輪場の整備などについて大通まちづくり会社の意向を踏まえて検討していくことにしている。
 
 なお、大通まちづくり会社の昨年3月期決算の純利益は148万円。負債・純資産の合計は3400万円。



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