札幌市は東日本大震災を契機に防災計画の見直しを進めている。これまで防災計画がなかった津波対策と原発事故対策について新たに防災計画を策定するほか、備蓄物資も増強する。市には現在、寝袋4万7200個、毛布2万4100枚を備蓄しているが、今後4年間でそれぞれ11万700にするほか食料も17万1千食から26万食に増や予定。(写真は札幌市役所)
 
 札幌市は海に面しておらずこれまでは津波対策がなかったほか、原発とも離れているため原発事故対策もなかった。しかし、東日本大震災を受けて国と道が津波、原発事故対策について見直しを進めているため、これに呼応して市の防災計画に津波と原発事故を組み込む。
 
 津波に対しては、国が2011年度末までに防災基本計画の見直しをするほか、道が11度に太平洋側、12年度に日本海側の津波浸水対策を講じるため、市は11年度に基礎的な調査を進め、12年度には学識経験者の意見を聞きながら札幌市の津波対策を策定していく。原発については国、道で様々な動きがあるため、その動向を注視し今年度中に課題抽出を実施する。
 
 原発の安全対策について市は道に情報提供を申し入れたが、道の対応は「ホームページで公開しているのでそれを見て欲しい」というものだったため、上田文雄市長は反発を強めている。
 
 また、避難場所についても整備計画を取りまとめていく。市には現在611の避難場所があり、このうち市有施設は443。今年度中に避難場所の基礎調査を行い、それをベースに来年度に専門会議を設置して避難場所の整備計画を立てる考えだ。
 
 備蓄物資については、東日本大震災で寒さ対策が重要ということが分かったため防寒用品を増強する。現在の備蓄物資の主なものは寝袋4万7200個、毛布2万4100枚、食料17万1千食だが、これを15年度までにそれぞれ11万700個、11万700枚、26万食に増強する。
 
 さらに大規模停電への対応として、災害対策本部になると想定されている本庁舎、区役所などの自家発電装置を大容量なものに今後1年間かけて更新していく。新しい発電機を入れることによって全庁舎の照明やパソコン等のコンピューター関係が動かせるほか、冬場の暖房設備用にも利用できるようになるという。また、これまで環境対策として導入していた太陽光発電施設を非常用としても使うため非常用のコンセントなどを取り付ける。


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