道議会は31日、2012年度に道議105人と議会6会派に道から交付された政務調査費の使途公開を始めた。3年前から1円以上すべての領収書や振込明細書のコピーを添付することになり透明度が高まったが、個人情報保護の観点から依然として支払った相手先などが不明な黒塗り領収書が多い。議員や会派がどのようにお金を使っているかを道民が知る手立ては、この政調費公開が唯一と言っても良い。道民が道議の活動にアクセスできるインターフェイスがブラックボックスでは「公開すれど視界ゼロ」になりかねない。(写真は公開が始まった道議会政調費の収支報告書を検証する北海道市民オンブズマン連絡会議のメンバー)
 
 道議会の政調費は、議員や会派が道政の調査研究に行うための必要な経費の一部として道が交付するもので、議員は月額43万円、会派には議員1人当たり同10万円。ただ道の財政難から、11年8月から議員のみ5万円減額し月額38万円、会派交付分と合わせ議員1人に同48万円が交付されている。12年度は議員と会派を合わせて5億9088万円が充てられた。
 
 実際に使用した執行率は94・4%で使わずに返還された額は3292万円。過去4年間の政調費の交付額と執行率をみると、08年度6億5790万円、98・5%、09年度6億4236万円、96・1%、10年度6億3600万円、94%、11年度6億1772万円、92・4%。12年度は、衆院選出馬で自民党4人、公明党1人の交付分が昨年11月で終わったため交付総額は初めて6億円を切った。それを勘案しても過去5年間の交付総額は6700万円減っており減少率は10%。政調費には削減の糊代が多いことを示していると言えそうだ。
 
 何にどう使ったかを知る手掛かりになる領収書等のコピー枚数は議員と会派を合わせて3万1265枚。1円以上の公開が義務付けられた10年度は2万8678枚で11年度は3万1929枚だった。
 
 問題は領収書コピー枚数の多寡ではなく、黒塗りの件数。道議会事務局がまとめた12年度分の会派別黒塗り比率は、自民党・道民会議が43・9%、民主党・道民会議48・6%、公明党74・5%、フロンティア70・5%、北海道・大地55・3%、日本共産党72・2%。6会派全体のコピー枚数1499枚のうち815枚、率にして54・4%が黒塗りになっている。
 
 北海道市民オンブズマン連絡会議の橋本勝三郎代表監事は「個人情報保護は理解できるが、我々納税者の視点から言えば全面公開どころか部分公開に過ぎない。情報公開推進に向けて黒塗りの見直しを図って行くように求めて行きたい」と語っている。
 
 政調費は、地方自治法改正で政務活動費に名称変更するとともに「これまで曖昧だった使途をより明確にした」(道議会事務局)という。今年度から「調査」が「活動」に変わることで交付額や執行率がどう変化するのか、さらに黒塗りコピーは増えるのか減るのか注目される。
 
 なお、12年度分の政調費収支報告書と領収書等のコピーは、道議会庁舎1階の事務局会議室で月曜から金曜の午前8時45分から午後5時半まで誰でも自由に閲覧できる。
(2013年8月7日記事一部修正)

この記事は参考になりましたか?