統一地方選は高橋はるみ知事(57)の圧勝で終わったが、104の議席を争った道議会議員選挙では各地域の選挙区で変化が現れた。選挙運動の自粛は新人には不利と言われていたが、道議選では新人がベテランを破るケースも。(写真・歴代道議会議長の肖像画=今回の道議選は議長選びにも影響する)
道議選に表れた変化から何が読み取れるのか。
札幌市豊平区では、民主党北海道幹事長の佐野法充氏(63)が5候補中最下位の得票で落選した。3期12年の実績があったが、「選挙には弱い」(支援者)と言われており、今回、市民ネットの市議で実績と知名度のある山口たか氏(61)の出馬もマイナスに働いた。
民主新人の松山丈夫氏(37)は佐野氏よりも4000票の差を付けて滑り込んだ。松山氏は、前回無所属で厚別区から出馬、次点だったが、今回は荒井聡衆議の息が掛かって豊平区で党公認になり労組票だけでなく保守票も取り込んだ。
佐野氏の落選はある程度予想されていたが、「民主党道議の中ではバランスがあり将来が期待されていた」(農業団体幹部)だけに、今後の進路が注目される。
札幌市西区では自民党の道議を7期務めた勝木省三氏の後継として勝沼栄明氏(36)が出馬したが、公示の数日前に出馬を決めた無所属新人の八田信之氏(66)に144票差で敗れた。「八田氏には共産票が流れたのではないか。市議の実績があるものの1万を超える得票は、組織票がなければ無理」(事情通)
ベテランと言えば、帯広市の自民党・清水誠一氏(62)も落選。元鈴木宗男氏の秘書で帯広市議2期を務め新党大地と民主党が推薦する新人、山崎泉氏(37)が自民2人の牙城を崩した。
清水氏も元宗男氏の一派で自民党道連幹事長も経験している。帯広市から出馬した4候補は誰が落ちても不思議ではないといわれていたが、敗者になったのは5期実績のある清水氏だった。
北見市では、松木謙公衆議が推した民主推薦の鳥越良孝氏(54)が、民主公認の長男幸子(53)を約1200票差で退けた。連合や民主の組織が付いた長男氏が、松木氏と鈴木宗男氏のタッグが破った格好だ。
事情通によると、「これで松木の次期衆院選では連合や民主がソッポを向く可能性が出てきた。一番喜んでいるのは、松木と3度目の争いになる武部勤衆議だろう」と言う。
宗谷管内では、前回、道議会議長を務めた7期のベテラン自民道議と新人民主候補の一騎打ちで年齢差50歳を跳ね返した田島央一氏(33)が、今回は自民推薦の新人、三好雅氏(36)に約2400票差で敗れた。田島氏は松木衆議と一心同体、一方の三好氏は武部衆議の元秘書。代理戦争は武部衆議に軍配があがった。
4月10日に行われた統一地方選で知事選びについて道民は変化を嫌ったが、足元の道議選では着実な変化があった。午後8時の開票直後に当確が出る知事選に比べて、ここで取り上げた道議選の数々は選挙の実像とはどういうものかを示している。選挙は「結果」というが、勝者も敗者も次の展開への「原因」になることは間違いない。