アクサ生命が札幌で手掛ける複合ビル名称「ライラックスクエア」に、環境性能と国内最強BCPを両立

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 アクサ生命保険(本社・東京都港区、札幌本社・札幌市中央区)が札幌市中央区南10条西1丁目の旧ヤマハ跡地で進めている、オフィス・ホテル・商業複合ビルの名称が、「ライラックスクエア」に決まった。このことを受け、2024年5月14日、同社と建設を進めているアクサ・リアル・エステート・インベストメント・マネジャーズ・ジャパン(同・東京都港区)などが、工事の進捗状況やオフィステナントのリーシング概要を発表した。(画像は、「ライラックスクエア」の完成予想外観)
(写真は、「ライラックスクエア」の名称決定とオフィスリーシング概要の発表会見)

 複合ビルは、地上14階建て、延べ床面積5万2776㎡、竹中工務店が設計施工を手掛けている。2023年4月に着工、現在の工事進捗率は40%。2025年6月に竣工し、同年10月にホテルがオープンする。ビルの1~3階は、エントランスホールとフードコート、貸会議室、4~8階はオフィスエリアで、そのうちのワンフロアをアクサ生命が、札幌本社として利用する。9~14階は、札幌初のラグジュアリーホテルとして、「インターコンチネンタルホテル」が入る。
 1階エントランスホールや2階のオフィスロビーは、吹き抜けの大空間となっており、災害時には、一時的な滞在スペースに利用できる。オフィスフロアの豊平川側には屋外テラスを設けるほか、各階には約300㎡のラウンジスペースも設ける。環境とBCP(事業継続性)にも力を入れる。世界基準の環境性能評価システムLEEDのゴールドを取得する予定で、高断熱サッシを採用するなど、標準的な同規模の建物と比べて、エネルギー消費率を30%削減する。

(画像は、2階オフィスロビー)
(画像は、豊平川が望めるテラス)
 
 アクサ生命保険は、東日本大震災、阪神大震災を契機にBCP対応を図るため、札幌にも本社機能を持たせたオフィスを設けたが、札幌本社もブラックアウトやパンデミックを経験。BCP拠点の強靭化が不可欠として、災害時に国内商業ビルとしては最大の14日間、事業が継続できる環境を整える。具体的には、電力を2系統とし、太陽光パネルで発生した電力を蓄電、オイルタンクには14日分の重油を貯留してガスタービン発電機を稼働できるようにする。また、井戸水を常用、災害時にも使えるようにし、14日分を貯められる排水層も設ける。さらに、ホバリングだけでなく、ヘリコプターが着陸してもその荷重に耐えられる強度のヘリポートも完備する。

 複合ビルの名称は、アクサ生命保険従業員の投票を経て、経営会議で「ライラックスクエア」に決めた。アクサ・リアル・エステート・インベストメント・マネジャーズ・ジャパンの早藤嘉彦社長は、「ライラックは札幌を象徴する木で、中島公園にも植生している。花言葉は思い出、友情、繋がり。当社グループが進めるプロジェクトによって、思い出や繋がりをつくっていただけるような場所にしたいという願いを込めた」と話す。

 オフィスリーシングは、ザイマックス北海道(本社・札幌市中央区)が行う。早瀬社長は、「札幌駅周辺にはない自然環境のほか、国内商業ビルとしては最大級の設備環境、BCP機能をアピール、市の企業誘致制度などとも連携してリーシングしたい。中島公園エリアが国際的な経済文化交流の新しい拠点として賑わいのある街になるように企業誘致に努めたい」と語った。グルーバル企業の本社機能やバックオフィス機能のニーズを期待しているほか、IT企業やコールセンター、スタートアップ、ベンチャーの誘致も積極的に行うとしている。

 会見に同席した、起業・経営支援などコンサルティングを行っているモアマネジメント(本社・東京都港区)の松山明弘社長は、「アクサ生命保険は、ファンドを使ったスタートアップ支援も行っている。東京などのスタートアップを誘致するほか、北海道、札幌からグローバルに展開できるスタートアップやベンチャーの誘致も進め、投資やサポートもしたい」と話した。

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