札幌の今、解体ノート㊹中央区北3条西3丁目旧「札幌富士ビル」(現ヒューリック札幌ビル)

不動産マーケット情報

 マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の44回目は、中央区北3条西3丁目の旧「札幌富士ビル」(現ヒューリック札幌ビル)。(写真は、解体工事が始まった旧「札幌富士ビル」)

 地下鉄南北線さっぽろ駅に近いヒューリック札幌ビル。地下鉄コンコースから階段を上ると、途中の踊り場付近でこのビルの地下と接続、中に入ると一段下がるのが特徴的なビルだった。富士銀行札幌支店が入っていたこのビルは、1966年8月に札幌富士ビルとして竣工。地下鉄が開通する5年前のこと。ビルの地下と地下コンコースからの階段を接続するのに段差が生じたのは、こうした背景があったから。

 地下コンコースからの階段とビルとの接続で段差があったのは、現在建て替え中の札幌第一生命ビルディングも同様だった。接続の段差は、地下鉄開通とビル竣工時の時間差を示す名残りでもあった。

 ヒューリック札幌ビルと名前を変えた札幌富士ビルは、2008年にヒューリック(本社・東京都中央区)が取得した隣接のヒューリック札幌NORTH33ビルと、一体的な建て替えが進行している。既に第1期として、ヒューリック札幌NORTH33ビルの建て替えが2022年8月に完了。それを受け、9月26日からヒューリック札幌ビルの解体工事が始まった。
 
 解体用のフェンスは、まだ低層階までしか覆われていないが、間もなく9階建てのビル全体が覆い隠される。解体工事は、大成・伊藤共同企業体(札幌市中央区)。解体は2023年9月29日まで1年間続く。

 解体後には、地下1階、地上20階建ての複合ビルが建設され、第1期の建て替えビルと一体化され、2025年6月にヒューリックスクエア札幌としてグランドオープンする。上層階には、ヒューリックが運営する「ザ・ゲートホテル札幌by HULIC」が入るなど、札幌エリアの新たなランドマークに生まれ変わる。
 

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER