マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の10回目は、札幌市西区西町北19丁目1-1の「宮の沢ハイツ」。
(写真は、解体工事に入った「宮の沢ハイツ」上は2021年8月9日撮影、下は同年9月13日撮影)
北5条手稲通に面して旧中の川沿いに伸びる細長い建物が、賃貸マンション「宮の沢ハイツ」。この名前にピンときた人も多いに違いない。2017年3月の雪解け時期、屋根のひさしが30mにわたって崩落、連日テレビで報道された。その後も水道管凍結による漏水などたびたびテレビで取り上げられ、管理メンテナンスの不行き届きが指摘されていた。
「宮の沢ハイツ」は、敷地面積約640坪(2116・15㎡)を利用して1972年11月に建設された、地上7階建ての賃貸マンション・事務所・店舗・駐車場の複合建物。1974年5月に増築され、延べ床面積は約2087坪(6900・27㎡)になった。所有者は、2003年に東京の法人、2016年には大阪の法人に変わり、今年3月札幌の不動産会社テイサン(中央区)が取得した。
テイサンが所有する前から退去が始まっており、約100戸は夏頃には全退去、解体工事に入った。解体を行っているのは、本間解体工業(本社・札幌市西区)で10月末には更地になる見通し。テイサンは、解体後の土地利用について「未定」としている。
地下鉄「宮の沢駅」から徒歩4分と近く、立地環境は良い。「宮の沢ハイツ」時代の良くないイメージは解体によって払拭され、新しい価値が土地に吹き込まれることになる。