マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の25回目は、豊平区平岸5条9丁目のゲームセンター「ジー・バオア・グー平岸店」。(写真は、解体工事に入った「ジー・バオア・グー平岸店」)

「ジー・バオア・グー平岸店」(旧店名「ポパイ」)は、まさに昭和感漂うゲームセンターだった。豊平区役所近くの環状通沿いに立地、このゲームセンターを運営しているパシフィックトレイドの本社と一体となった建物に入っていた。ゲームセンターの開設は1983年頃で、店内には、クレーンゲームやレトロゲーム機など約300台が設置されていた。ジュークボックスや縁日でよく見られた射的(バンバンショット)、18歳未満は使ってはいけないゲーム機も揃っていた。

「ジー・バオア・グー」が営業を終えたのは、2022年1月31日。開業から39年、ゲーム文化の変遷を考えれば当然の成り行きだった。営業終了から3ヵ月目に入り、鉄骨造、営業面積約230坪(約760㎡)の2階建て建物の周囲にはフェンスが立てられ、解体作業がまもなく始まる。解体を行うのは椿工業(江別市)、解体期間は2022年4月5日から同年6月30日まで。解体後の敷地約303坪(約1000㎡)について、所有者のパシフィックトレイドは有効利用を検討中としている。機動戦士ガンダムなどに登場する架空の宇宙要塞「ア・バオア・クー」を想起させたネーミングのゲームセンターが姿を消し、次に何が生まれるだろう。


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