札幌ススキノ地区の再開発熱が鈍ってきた。コロナ前までは「老朽化ビル解体→ホテル建設」が間髪入れず行われていたが、コロナ禍で「老朽化ビル解体→時間貸し駐車場」の流れが鮮明になってきた。土地所有者やデベロッパーが、コロナ禍の先行きに慎重な見通しを示している証左と言えそう。(写真は、若島ビル跡地にオープンするタイムズ駐車場)
コロナ前のススキノ地区は、まさにホテルラッシュそのものだった。時間貸し駐車場が瞬く間にホテルに生まれ変わり、既存のソシアルビル(飲食店や居酒屋が入る雑居ビル)の解体後もホテル建設が進むなど、インバウンドの増大がススキノ開発の一端を担っていた。
コロナによって、インバウンドが蒸発、国内観光客も減少する中、同地区の再開発熱は急速に萎んでいる。象徴的なのが若島ビル跡地。南6条西4丁目にあった若島ビルは、昭和40年代に建設されたソシアルビルで、古き良きススキノを体感できる数少ないビルだった。以前の所有者の代替わりに伴って持ち分が分散していたが、市内の不動産会社が持ち分を全取得した後、現所有者のワイ・エス・ジー(札幌市白石区)が2019年12月に取得。老朽化したビルは、今年1月から解体に入り6月頃には更地になっていた。
解体後の更地には「ワイ・エス・ジー」の看板が掲げられ、不動産活用の提案を募集していたが、11月から時間貸し駐車場として活用されることになった。敷地面積は約340坪(1124・79㎡)で駐車場は「タイムズすすきのゼロ番地前」として運用され、駐車台数は約40台。料金は12時間880円、0時~24時20分220円。ススキノ地区では既存ビル解体が数ヵ所進んでおり、こうして生まれて来る更地も時間貸し駐車場になる可能性が高い。時間貸し駐車場は景気の先行きを占うバロメーターとなりそうだ。