
――参考にしたモデルはありましたか。
倉橋 リユースで一番意識したのは、『ドン・キホーテ』や『ヴィレッジヴァンガード』です。それらの店舗をベンチマークして、圧縮陳列、迷路動線を研究しました。当時の『ドン・キホーテ』は今のようなファミリー寄りではなくて、同じようなコンセプトで新品を置いていましたが、自分は同じようなものをリユース品で揃え、非常に尖った店舗にしていました。2年目に入ると、15分遊び放題で集めた8万3000人の会員の更新が少なくなったので、これは厳しいと考えてこの事業はやめました。
600坪で始めたリユースを、3年目に倍の1200坪にしました。どのように面積を広げていったかというと、常にお客さまの要望に応えようと、商品ごとに1m単位で売り場を広げていきました。売れたら2mにして、また売れたら4m、8mと増やしていきました。16mにして売れなくなったとしたら、8mが均衡点ということになります。どの商品も、すごく売れるようになるポイントが必ずあります。リンゴも一つだったらそれほど売れませんが、山積みにした瞬間に売れるということがあります。そういうことを繰り返していくと、売り場面積がどんどん広がっていって、必然的に男性が喜ぶユートピアのような売り場ができあがりました。
――ところで、「万代」という商号は、どのような経緯で付けたのですか。
倉橋 大学を中退して働いた時に、『万歩書店』という古書を取り扱っている店舗とご縁をいただきました。そこで中古のビジネスを教えてもらったのです。起業する時にオーナーが、『万』の字をあげるというので、いただいた上で時代というニュアンスも加えて、『万代』にしました。ベンチャー企業でしたが、リユース事業は、少し老舗な雰囲気が欲しいと考えて『万代』にしました。最初は、『万代書店』と『書店』を付けていました。
2001年にデビューしたので、《万代書店、創業世紀元年》をロゴにして、宣伝しました。まずは宮城県の仙台市南部で展開して、5店舗のドミナント出店を進め、男性ターゲットのナイトマーケットを対象にしたことで、大きくあたりました。年商40億円規模に成長していったので、次は、仙台市の倍のマーケットがある札幌市に進出しようと、2006年に『藤野店』(札幌市南区)を出店しました。
――順調に店舗を拡大していったのですね。
倉橋 いえいえ、そうではありません。2008年にiPhoneが登場しました。途端にメディア商材の環境が変わり、スマートフォンで見る傾向が出始めました。2011年の東日本大震災で当社の店舗も被害を受けました。津波などで、4店舗が営業できなくなって、復活したのはGWの頃でした。中でも『多賀城店』は、沿岸部の店舗だったので、復活するのに1年以上かかりました。
そして、2012年にメルカリが登場しました。私は、大変な恐怖感を持ちました。私たちのターゲットゾーンの人たちが、こぞってそっちへ行ってしまうのでは、と思いました。当時は、8つくらいのカテゴリーで展開していましたが、コミックがなくなり、ゲームソフトやCD、DVDもやめて、4つくらいのカテゴリーに減っていきました。次の一手をどうしようかと考えている最中に、コロナ禍が起きました。その時、非対面のクレーンゲームが流行りだし、『鬼滅の刃』というスーパーコンテンツが登場してきました。次の一手をどうしようかとずって考えていたので、クレーンゲームなどアミューズメントの展開を広げる方向にしました。
――コロナ禍がきっかけで、男性からファミリーにターゲットを変えたと。
倉橋 コロナ禍は、人の行動特性を全て変えました。ナイトマーケットの男性がメインターゲットでしたが、みんな夜に出歩かなくなりました。男性ターゲット層は、ECやネットに向かいました。趣味性が強い業態だったので、本来は、あまり人に見られたくないものです。だから、夜が強かったのですが、コロナ禍で全てが変わりました。ターゲット設定をファミリーに変え、24時間営業もやめました。そこで、会社を大きく転換させました。
――そうしたモデル転換がうまくいったのはなぜですか。
倉橋 2021年に『音更店』(河東郡音更町)をオープンすると、非常に手応えがあって、お客さまの期待度をすごく感じました。地方は娯楽が少ないのですが、ネットが普及しているので、情報へのアクセスは一緒です。道内のどこに住んでいても、何が流行っているかということは、皆さんわかります。しかし、地方では、リアルの供給量が違います。リアルの供給量をネットに近づければ必ずあたると分かったのが、『音更店』の成功でした。
コロナ禍以降、多くの人たちの所得はそんなに上がっていません。例えば、東京ディズニーランドに家族4人、2泊3日で行くとしたら40万円は必要でした。今なら50万円を超えているでしょう。娯楽に対するコストが上がっているので、近場で4人家族が遊べるコンテンツをきっちりとつくれば、必ず需要はあると思いました。



































