グラニフ・村田昭彦社長インタビュー「札幌に旗艦店を出店した狙い」「IP(知的財産)マーチャンダイジングでトップ目指す」

経済総合

 ーーIP(知的財産)マーチャンダイジングの市場性、発展性について。

 村田 ファッション、アバレルの国内マーケットは年間約8兆3千億円ですが、少子高齢化や人口減少を考えると、マーケットの成長性は低い。その中で、1兆円を超えている企業もありますが、私たちは、マンガ、アニメ、エンタメ、キャラクターといったIPを使ったマーチャンダイジングにおいて、トップを取っていきたいという戦略で動いています。このマーケットは、ファッション、ライフスタイルの市場がシュリンクする中で、グローバルに伸びて成長が見込まれるカテゴリーです。ファッション市場全体としては横ばいですが、このマーケットに関しては成長すると見込んでいて、ここにフォーカスしていく戦略をとっています。それなら、強い企業と競合することなくシェアを伸ばせる余地があると考えます。

 また、このマーケットは、よりグローバルに通用しやすい。特に日本のマンガ、アニメは、世界的に影響力を増している状態で、海外への発信力が強く、既にファンがたくさんいます。私たちはIPコンテンツを活用しながらも、自社のキャラクターもより強化して、世界進出していきたいと思っています。

 今年、台湾にグラニフの直営店の1店舗目を出しましたが、日本以上に売れていて、私たちの事業が世界で通用することを改めて感じています。当社のオリジナルキャラクターも、例えば「ビューティフルシャドー」は国内と同様に海外でも売れています。キャラクター自体はよくご存知ないとは思うのですが、海外から見た時、日本のカルチャーから生まれたキャラクターが新鮮に見えるのでしょう。海外から見たらクールという評価のようで、直感的にかわいいと思っていただけています。

(写真は、「グラニフ札幌」の店内)

 ーーIPの他ブランドとの差別化について。

 村田 IPを活用した商品で、これだけ幅広い品揃えを実現できるブランドは、当社以外にありません。どうしてもIPを使ったものでは、雑貨やホビーに寄ったり、ファッションブランドでも一部アイテムしか展開できなかったりします。でも、私たちは、衣料品から生活雑貨、ホビー、トイを含めて、日常に使えるあらゆるものとエンタメ、キャラクターを融合させています。業態として、なかなか珍しいと思っています。

 他のブランドもIPとのコラボレーションを連発している状況なので、差別化がより難しくなりますが、私たちは他社とは違い、さまざまなコンテンツとのコラボレーションについて、すべてオリジナルアートを使っています。通常は、IPの権利元からいただいた素材をそのままプリントして商品化することが多いのですが、私たちは、作品を理解・解釈した上で、こういうものを作りたいと提案して、交渉の上で商品化しています。自分たちならではの表現方法を提案することで、他社と差別化できており、そのこだわりが、ファンの心にも刺さるのだと思います。また、他社のIPだけでなく、オリジナルのIPを開発、育成に力を入れているのも特徴です。

 オリジナルキャラクターでは、「ビューティフルシャドー」「イカク」の人気が非常に高いのですが、この2種だけで、昨年は約50億円を売り上げました。全体売り上げは約134億円で、直近4年間の成長率は約15・5%です。フルラインナップできない狭い店舗を大型店にスクラップ&ビルドしているため店舗数は減っていますが、売り上げは伸びています。営業利益率も12%と、一般的なアパレル企業と比べるとかなり高いレベルにありますので、今後も高い利益水準を維持しながら、自分たちで生み出したキャッシュフローで投資をしていきます。(終わり)

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