「ニセコバブル論を嗤う 」倶知安観光協会吉田聡代表理事インタビュー

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 ーー「すき家」、「ピザ テン.フォー」など、ファストフード店舗が倶知安町にも進出しています。

 吉田 「スターバックスコーヒー」や「はま寿司」の話もあります。ニセコでは、今シーズンにレストランが40店舗近く新規にオープンしました。新しいハコモノに入る店舗のほか、単独のレストランビルも開業しました。札幌で商売をしていた人たちが、札幌の店を閉めて、ヒラフに出店するようになってきました。キッチンカーは、今シーズンに51台が来ました。昨年は38台でしたから大幅に増えました。ただ、増えたのは良いのですが、すごく儲かったという話を聞きつけてやってきたキッチンカーもあったので、予想通りにいかなかったところもあったようです。

 ーー倶知安町では、2019年11月から宿泊税を導入、2022年度は2億4000万円、2023年度は3億円を超えます。

 吉田 法定外目的税なので観光事業にしか使えませなんが、一番多く支出してもらっているのは当観光協会の人件費です。人件費を上げないと協会には良い人材が集まりません。そのことをようやく町の幹部にも分かってもらった。給与が十分ではなかったので、これまでに何度も事務局長が交代しました。現在の事務局長は3年になりますが、実績を上げてくれました。彼のセカンドに入る職員たちにも、きちんとした給与体系にしていかないと世界と戦うことはできません。口を酸っぱくして町長以下に言ってきたことが、ようやく理解されてきたということだと思います。

 協会には、現在、パートを含めて8人います。それでもまだ足りない。長野県北安曇郡白馬村の観光局に、7年ほど前に伺いましたが、人口5000人の村の観光予算は、1億2000万円でした。当時の倶知安町の観光予算は7000万円。白馬村観光局の議事録をもらってきて、時の町長に「観光予算が少ないのはおかしい」とずいぶんやり合いました。

 姉妹都市のサンモリッツに行った時も、観光局の議事録を見せてもらったら観光予算が4億5000万円あった。道路の補修などは観光局が差配していました。またまた、町長に「もっと予算を増やしてほしい」と要請しました。おかげさまで、協会の来年度予算は、2億円を突破します。2億円の予算がある観光協会は、全国的に見ても珍しいはずです。

 ーーニセコに行くと、ハーフの子どもたちが多いなという印象を受けました。その子たちも大きくなったでしょうね。

 吉田 大きなって、23、24歳くらいの人が多いようです。大学を卒業して、親たちの後を継ぐ人も多分出てくるでしょう。そういう意味では、宿泊業者も含めて世代交代に入っています。次の人たちの発想が楽しみです。

 ーーインターナショナルスクールも増えていますか。

 吉田 京都府の京都インターナショナルユニバーシティが、ニセコ町に2025年4月に開校します。それによってインターナショナルスクールは2校になります。これまでのインターナショナルスクールは、小・中学生の対応でしたが、今回は高校生も対象になります。子どもの教育を憂いて帰国する外国人従業員も多かったですから、流出の防波堤になり、国際リゾートの教育インフラにもなると思います。

 ーー観光の専門学校などは進出していないのですか。

 吉田 話はたくさんありますが、なかなか実現しません。大学のサテライトでも良いので、ぜひ誘致したいと活動していますが、なかなか実現しません。

 ーーニセコの今を詳しくお話しいただき、ありがとうございました。

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