「ニセコバブル論を嗤う 」倶知安観光協会吉田聡代表理事インタビュー

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 コロナ禍を経て、ニセコエリアは国際的なスキーリゾートとして評価を高めている。世界60数か国からスキーを楽しむ人たちが押し寄せ、コロナ禍から完全復活した。しかし、メディアや識者の一部には、今の状態を「ニセコバブル」と称し、先行きを危ぶむ声もある。実際にバブルに踊っているのか、一般社団法人倶知安観光協会の吉田聡代表理事にインタビューした。〈よしだ・さとし〉…1967年5月生まれ、56歳。虻田郡倶知安町出身、函館ラサール高校、中央大学法学部卒。1992年に司法書士試験に合格し93年に札幌で開業。99年から1年間カナダ・バンクーバーに留学、2000年に倶知安で司法書士事務所を開設、現在は札幌、富良野にも事務所を持つ。2016年5月から倶知安観光協会代表理事。

 ーーコロナが明けて、倶知安ニセコ(以下ニセコ)は海外スキー客で賑わっています。それを称して「ニセコバブル」という言い方が多く見受けられます。

 吉田 私は、バブルとは思っていない。ニセコ地域はバブルと言われ始めてから20年くらい経つ。何年続けば、バブルではなくなるのかと問いたい。バブルとは、いずれ弾けてしまうということでしょう。地元からしてみたら、なぜそうした報道が多いのか疑問に思う。需要と供給がマッチしていて、日本では経済成長率ナンバーワンの地域です。これほど、賃金が上がって成長を続けているところは、日本のどの地域を探してもないと思う。そろそろ、メディアにもニセコの実力を正しく評価してもらいたい。ニセコは、コロナ禍を経て完全復活したと言ってよいでしょう。

 ーースキーのリフト待ちの時間が長くて、混雑していることから、スキーのコア層が離れつつあると。

 吉田 コア層とは、一体誰のことなのか。スキーフリークの人たちは、今でも来ていると思います。ニセコに先鞭を付けたオーストラリアのスキー客が減っていると言いますが、オーストラリアの人口は約2600万人ですから、そもそもスキーをする人の絶対数が少ない。そのお客が減ったとしても、ヨーロッパをはじめ、世界中のスキー客が不足分を十分に埋めています。コロナが明けて、今まで以上にスキー客を世界中から集めているという手応えがあります。

 最近、開業したのは、シンガポール資本の「雪(Setsu)ニセコ」と韓国資本の「ムア(MUWA)ニセコ」です。巨大ホテルが相次いで2年続きでオープンしました。今シーズンは、ヨーロッパの雪不足があって、ヨーロッパから訪れているスキー客が増えましたし、カナダも今シーズンはあまり雪質が良くないと言われていますから、北米からも来ています。もっとも中国本土は、スキー人口が少ないのであまり来ていません。

 コロナ禍の2年間は、ものすごく良い雪が降りましたが、皮肉なことにコロナ禍で海外客はゼロに近い状況でした。外国人の受け入れ解禁になった一昨年も、来ることができない外国人が多かった。今シーズンは、いよいよ本格的に受け入れが進み、「ジャパウ」(ジャパンパウダー)が圧倒的に支持されています。

 ーー過去に何度か危機に直面してきたニセコですが、それらを乗り越えてきました。

 吉田 リーマンショックがあって、東日本大震災や北海道胆振東部地震があって、コロナ禍に襲われました。そうした難局によって、一時的に落ち込んでも、再び成長曲線を描いてきたのが当地です。今シーズンに、過去最高の売り上げを記録している飲食店、宿泊施設は、たくさんあります。ベッド数はコロナ前で1万2000でしたが、今は1万8000まで増えています。2万を超えるまでは、伸びていくと思います。

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