ーー日本エスコンがカミヤマビル2棟を取得しました。札幌の地場貸しビル事業者が本州事業者に吸収されていくことをどう考えますか。
藤池 それぞれの事業者の考えだと思います。建築単価が高くなっていて、地場貸しビル事業者が建て替える場合には、ある程度、床面積を手放さなければならないことや、多くの借り入れをしなければならない局面も出てくるでしょうし、それぞれの企業の考え方で決まっていくと思います。
ーーオフィス需要の先行きをどう見ていますか。
藤池 ラピダスがどれくらいの規模になるかわかりませんが、千歳とのアクセスが良い札幌のオフィス需要は大いに期待できます。また、新幹線が開通すれば新たな需要も出てきますので、ポテンシャルは非常に高い地域だと思います。さらに道内全体の人口減が進む中でも、札幌はある程度その受け皿になっていくと思いますので、オフィス需要は底堅いと考えています。
ーーアクサ生命の札幌本社の建設が進んでいます。温暖化対策で札幌への流れは太くなるのではないでしょうか。
藤池 北海道は、再生エネルギーのポテンシャルもありますから、注目を集める地域になるのは確かだと思います。新しいオフィスを再エネ、省エネ仕様で建設していけば、他に勝る地域になっていくでしょう。
ーー冬季オリンピック・パラリンピック誘致断念の影響が出てくるのでは。
藤池 それは出てくるかもしれませんが、200万都市で冬季五輪をできる都市は世界的に見てもないため、いずれかの時点で冬季オリパラ開催の可能性は高いのではないでしょうか。また、冬季オリパラ開催とは関係なく、今後も冬の資源を生かした札幌のまちづくりは進んでいくでしょう。札幌駅前通地下歩行空間(略称チ・カ・ホ)が開通してから10数年が経ちますが、大通から札幌駅の街並みもどんどん変わっています。当社の保有ビルも建て替え時には全面的にチ・カ・ホと繋げることを計画中です。
ーーM&Aや他の貸しビル事業者との連携は。
藤池 現在、具体的にはありませんが、再開発にあたってさまざまな事業者と組んで大きく展開していくことはあり得ると思います。特に、地場の不動産企業の皆さんと一緒にできることがあれば、積極的に考えていきたいと思います。
ーー任期中の目標は。
藤池 可能な限り、既存のビルを快適な居住空間にしてテナントの皆さんに満足していただき、テナントの皆さんの発展と、札幌駅前通という地域社会の発展に多少なりとも貢献していきたいと思います。事業規模も大きくしたいと考えているので、良い物件があれば投資したいと思っています。
ーー本日はありがとうございました。