テレビドラマや映画に登場するオフィスは、機能的で洗練され、働き甲斐がありそうに見える。あんなオフィスで働いてみたいと思った人も多いことだろう。オフィスは働く人にとって、モチベーションアップの重要な要素であり、組織の頭脳そのものと言える。コクヨ北海道販売(本社・札幌市白石区)の「札幌ライブオフィス」は、最新のオフィストレンドを盛り込んだ提案型ショールームで、見た人の心をくすぐる同社の戦力拠点になっている。(写真は、「moviiing」をテーマにした2023年度のコクヨ北海道販売の「札幌ライブオフィス」)
単なるショールームと違うのは、約60人の同社社員が実際に働くオフィスを兼ねているところ。「私たちの働いている現場を実際に見てもらうことで、ライブ感のあるオフィス空間の提案をしています。社員たちは、動物園のようにジロジロと見られますが、机や椅子、収納オフィス家具などが成約に結び付く確率が高い。中には、レイアウトを含めて、そっくりそのままのオフィスをつくりたいというお客さまもいます」と、同社の佐藤文彦常務営業本部本部長は話す。
(写真は、コミュニケーションのきっかけをつくりやすくしたラウンジエリア)
同社のグループ会社、コクヨ(本社・大阪市東成区)は、以前から社員が働くオフィスをショールームとして活用する販促手法を取ってきたが、全国各地の販社で自社オフィスの公開による販促が始まったのは2017年。「札幌ライブオフィス」(床面積は約290坪=約955㎡)も、同年から運用が始まった。それまでは、図面上でのオフィス家具などの提案が中心だったため、他社との価格競争に巻き込まれやすく、どうしても営業が受け身にならざるを得なかった。社内的にも知識が属人化したり、情報共有が難しかったりと、顧客が抱えるオフィスの課題を同社も同じように抱えていた。
「ライブオフィス」は、営業面での差別化と、自社内でのコミュニケーションを高めるという一石二鳥の効果を狙ったもので、コクヨが提案するオフィス空間を実際に社員が使っている点で斬新な試みと言える。「ライブオフィス」のコンセプトは、毎年変わるため、1年ごとにレイアウトや机、椅子などの調度品も変更になる。このため社員は、毎年新鮮な環境で仕事ができるメリットもある。
(写真は、座面が360度動く椅子を備えたWeb会議室)
(写真は、キャスターのついた机と椅子で作った会議スペース)
2023年度(コクヨ北海道販売の決算年度は9月のため、2023年度は10月1日から2024年9月30日まで)の「札幌ライブオフィス」のコンセプトは、「moviiing~心を動かす 人を動かす オフィスを動かす」。コンセプトづくりをした同社チャネル営業部ファニチャーグループの石郷友子さんは、「コロナ禍でオフィスでは人の動きが少なかったが、ようやく行動様式も自由になってきたため、コロナ後を見据えたオフィスを念頭に、動きが感じられることをコンセプトにしてライブオフィスを編集しました」と話す。