SHIROが砂川市に「みんなの工場」オープン、今井浩恵ファウンダーにインタビュー

経済総合

 自然由来の化粧品ブランドSHIRO(本社・東京都港区)が、創業の地、砂川市に新工場「みんなの工場」(豊沼町54-1、市立江陽小学校跡地)を2023年4月28日にオープンさせた。SHIROは、観光土産品の会社として1989年に砂川で創業したローレルがルーツで、現在に繋がる礎を築いたのが、2000年に当時26歳でローレル従業員から社長に就いた今井浩恵ファウンダー(48)。「みんなの工場」には、今井氏が地域の人たちと育んできたSHIROのフィロソフィーが体現されている。(写真は、4月28日にオープンした「みんなの工場」)

 1980年代後半に廃校になった小学校跡地には、門柱と記念碑が残されている。SHIROの新工場は、かつて校舎が建っていたと思われる場所に建設された。遠くにピンネシリや浦臼山など樺戸三山が望める田園風景の中に溶け込むように、平屋建て延べ床面積約873坪(2881㎡)の工場は建っている。外壁には木の板を使い、一般的な工場とは違う趣を見せる。

(写真は、自分だけの香りを作ることができるブレンダーラボのあるショップ)
(写真は、ガラス越しに工場作業が見えるキッズスペース)

 吹き抜けのエントランス正面には、ガラス越しに工場作業が見える。研究開発室、素材処理室、調合室、充填室、包装室の各工程で働く従業員の息遣いまでが聞こえるような距離感。そんな作業がつぶさに見える場所に、ショップやキッズスぺース、ライブラリー、ラウンジ、カフェがある。

(写真は、ガラス越しに見える作業風景)
(写真は、廃材を利用した長尺のテーブルがあるラウンジ)

 床材は、間伐材などを利用したものが使われ、ラウンジに置かれた20m近くもある長テーブルは、ある保養所で使われなくなった木材製品を再利用したもの。また、ジャングルネットがあるキッズスペースの天井吸音材には、古くなった店舗スタッフのユニフォームをアップサイクルしたものを使っている。カフェは、札幌のイタリアンレストラン「TAKAO」の高尾僚将シェフとコラボ、直接生産者を訪ねて仕入れた素材を中心に、ピッツァなどを提供している。
「みんなの工場」と命名したのは、砂川市民やプロジェクトに興味を示した、全国の人たちとワークショップを開くなどしてつくり上げてきた「開かれた工場」という意味が込められている。

 工場がオープンした4月28日、今井ファウンダー・ブランドプロデューサーに工場をつくった目的や今後の展開についてインタビューした。

(写真は、SHIROファウンダー・ブランドプロデューサーの今井浩恵氏)

 ーー工場が竣工してどんな思いですか。

 今井 やっと始まったという気持ちです。まだ、つくり込んでいないので、ここから10年くらいかけて、市民の方々とつくっていきたいものがいっぱいあります。やっとスタートできたというのが、率直な感想です。

 ーー建設場所は小学校跡地ですが、この地を選んだ理由は。

 今井 SHIROの前身のローレルが砂川で創業して、この地で製品を作って、世界中に届けるきっかけになった聖地だからです。聖地に対する感謝と恩返しからです。東京に本社を移転しているので、千葉や横浜に工場を建設する考えもありましたが、それでは普通の企業になってしまうのかなと、私の心は全く燃えませんでした。

 ーー砂川で建設することで、心が燃えたということですか。

 今井 実は、この土地の存在を忘れていました。20年以上前に光陽小学校は閉校になりましたが、その後、市から譲り受けていました。所有していることさえ忘れていましたが、ひょんなことから思い出して、ここで良いのではないかと。ここで建設するのなら、工場だけでなくて世界中から人が集う場所にしようとか、SHIROの聖地だからこそできることをやろうなど、イメージがたくさん湧いてきました。

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