赤い座席に赤い壁ーー7月22日(水)に1年ぶりに戻ってくるスガイディノス(本社・札幌市中央区)の映画館「サツゲキ」の内部は刺激的だった。ひと足早く館内に入ると、ロビーはコンクリートの打ちっぱなしにリノベーションされ、ここから新たな文化発信が生まれそうな予感。三浦尚久社長は「多くの人の期待を感じており真摯に応えていきたい」と話す。(写真は、22日に復活する「サツゲキ」)

 スガイディノスがビル所有者による建物建て替えのため、創業の地(札幌市中央区南3西1)を離れたのは昨年6月2日。「ディノスシネマズ札幌劇場」はその日に閉館、ゲームセンターとボウリング場と共に札幌のエンタメ文化を発信する役割を担ってきた拠点がなくなった。

 それから1年強、場所を狸小路商店街5丁目にある「札幌プラザ2・5」(同区南2西5)に移して映画館が復活する。当初は昨年の閉館日と同じ日に復活することを計画していたが、コロナ禍によって延期を余儀なくされ、ようやく22日にオープンすることになった。「『札幌劇場』の名を踏襲することも検討したが、10年、20年後を考え、『サツゲキ』とした」と三浦社長。見据えているのは、若者層による新たな札幌の文化発信。「サツゲキ」にはそんな思いが込められている。

 2階の200席、28席、48席と地下1階の170席の4スクリーン。赤い座席と赤い壁があるのは200席の部屋で他の3つの部屋もそれぞれカラリーングが違うという。単館系映画館(全国一斉公開のロードショー作品ではなく独自に選んだ作品を単独で上映する映画館)に相応しい設(しつら)えにしている。移転整備費は数億円、そのうちクラウドファンディング(CF)によって約1200万円の支援も受けた。「CFでは約800人の方々から支援を受けた。道内だけでなく道外の方たちの熱い期待も感じており、新たな文化発信の拠点にしていきたい」と三浦社長は決意している。
 オープン後は、観客数を定員の半分にして社会的距離を確保するなどコロナ対策を順守して運営する。



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