西江栄二・倶知安町長インタビュー「新幹線開業に合わせモノレールを走らせる」

ピックアップ・リアル

IMG_2855
 --ところで地価上昇率全国ナンバーワンですが、これはバブルではありませんか。

 西江 バブルではないと思います。素晴らしい地域なので、海外の人たちは本当に不動産を欲しいと思い、財産として所有しています。金融機関から資金を借りて投資目的で所有する人は少ない。そこが他のリゾート地とは違うところ。投資目的が中心なら15年にもわたって投資が継続することはないでしょう。
 投資は最初、オーストラリアから始まってその後、香港、マレーシア、タイ、インドへ変化しています。経済成長の著しい国の投資家たちは、雪のニセコに来ることがステータスになっています。スキーリゾート地は、大手企業数社による開発が中心というところが多いのですが、ひらふ地区は海外資本がぶどうの房のように寄り集まっています。それぞれに特色があって個性のある施設の集合体になっています。多様性が魅力を発揮している地域だと思います。

 --昨年9月に一般社団法人ニセコひらふエリアマネジメントが設立されました。この団体と行政の連携をどのように進めますか。

 西江 5年前から私も関係していました。国の法律がなかったので分担金など法定外の目的でお金を取ることなどはうまく進まなかったのですが、今回、「地域再生エリアマネジメント負担金制度」という法律ができたことによって、行政が受益者から負担金を徴収できるようになりました。これを原資にニセコひらふエリアマネジメントに交付する仕組みにします。
 イルミネーションやライトアップで楽しい空間づくりをしたり、空き地の雑草を刈り取ってきれいにするなど行政のできない活動をエリアマネジメント団体が行い、行政と民間の両輪でリゾート地の資産価値を高めて観光客を迎えるようにしたい。

 --ところで、投資は海外が中心で、国内の投資が少ないのでは。

 西江 海外だけでなく日本の投資も進んでいます。花園ではパークハイアットのホテルとレジデンスの建設が進んでいますが、レジデンスは三井不動産とパークハイアットが組んで国内の富裕層にも販売しています。売買契約は、海外と日本が半々くらいなので今までの状況と変わりつつあります。日本人は、これまで外国資本で外国の管理運営なので不安視していたようですが、今回の物件は国内企業も入った信頼性のあるブランドのレジデンスなので購入するようになってきたようです。今後、日本人はこのエリアにどんどん入ってくるようになると思います。新たな展開になりつつあると感じています。

 --地域住民と外国人との交流はどう進めますか。

 西江 8月に『くっちゃんじゃが祭り』や『ひらふ祭り』がありますが、そこでの会話はほとんど英語です。この10年間で日本人が減り外国人のスタッフ、商売をする人が増え、ここで子育てをするようになり小中学生、幼稚園児のハーフは50~60人以上います。外国人との交流は今や生活に密着しています。まちづくりなど都市計画を考える時には、外国人のメンバーを入れて一緒に検討しています。日本人も外国人も共生した社会をつくっていくことを大前提に、繋がりを深めた地域づくりをしていくことを命題にしています。

 --新幹線の駅名を含めて町長の観光ビジョンを聞かせてください。

 西江 新幹線の駅は、現駅を建て替えて建設されるので現駅名の『倶知安』を変えようがありません。ただ、在来線の存続問題がありますから、仮に在来線廃止になれば地域の象徴的な名称にする必要性が出てくるかもしれません。
 観光の将来ビジョンとして私が考えているのは、新幹線が開通した時、札幌市南区定山渓から京極町まで未開通の5㎞区間を繋ぐことです。そうすると倶知安から定山渓まで30~40分で行けるようになります。このルートを使って札幌国際スキー場に行けるようになればルスツ、キロロ、ニセコ、札幌国際の4スキー場が連携できます。冬季オリ・パラの際にもこのルートは大いに生きてくるでしょう。(終わり)

1 2 3

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER