――公営住宅の指定管理者として圧倒的な受注量ですね。
堂守 道内ではトップの管理実績だと思います。さらに2014年には、札幌市時計台の指定管理業務を受託して公共施設、観光施設の指定管理業務にも進出しました。今年4月からは、札幌市旧永山武四郎邸、札幌市旧三菱鉱業寮の指定管理を当社とまちづくり会社のノーザンクロスで構成する共同事業体が受託しました。そこでは古民家的なカフェもオープンしますがカフェ事業は未経験ですのでノーザンクロスに任せて、当社は建物管理を担当します。
――ところで、現在の売り上げ規模はどれぐらいですか。
堂守 昨年の売上高は約42億円です。この1~2年は減収、増益が続いています。というのは、当社は建物管理の中の改修工事を元請けする方式で売り上げを立てていたのですが、設計、監理業務に特化するようになったからです。収入の構成比率は、分譲マンション管理が5割弱、改修工事の設計、監理が2割、ビル管理が2割ほどです。
――ポスト30年を見越した今後の成長戦略として描いていることは何ですか。
堂守 分譲マンションの管理からスタートして、ビル管理、病院管理を柱に当社は事業展開してきましたが、今後の建物の方向性は再開発を含めたまちづくりに移っていくと思います。とりわけ中心部はそういう傾向が強まるでしょう。ビルやマンション、公共施設、商業施設を1つの建物、1つの敷地の中に集約する時代が訪れることになり、様々な施設を管理できるノウハウ、能力を持っていることが必須の条件になってくると思います。当社は、それぞれの分野の管理能力を高めることに集中してきましたが、今後は蓄積したノウハウに横串を通してどう複合的な再開発案件の管理に携わっていけるかを模索したい。
当社は、札幌を中心に道内に拠点を有していますから各地の再開発案件に関わっていくチャンスはあります。さらにNIPPOとの合弁会社もありますから、全国で管理物件が増えていく中で、全国の再開発案件にも関わっていけるでしょう。そのモデルケースとして「エキシティ・ヒロシマ」の受託があります。もっともこうした再開発は一部の都市圏に限られるかもしれません。地方の公営住宅では、福祉や見守りサービスの提供といった住む人たちのコミュニティ的な部分も運営管理には求められてくるのではないでしょうか。地域に貢献していくことが目標でもある当社としては、こういう分野にも関心を持って取り組んでいきたいと思います。
――株式上場へのスタンスはどうですか。
堂守 上場で調達した資金や信用力を生かせる何かがあれば良いのですが、今のところ特にそれはありません。むしろ上場によってコンプライアンスのレベルが高くなりすぎて、経営の自由度が失われかねない面も出てきます。そうなると新しい変化に対応できなくなるかも知れません。特に資金的にも困っていないのであれば、敢えて上場をする必要もないのかなと思います。