札証アンビシャス上場・エコモット入澤拓也社長インタビュー

経済総合

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 ――『エコモット』という社名は最初から決めていたのですか。

 入澤 起業したころは、北海道洞爺湖サミットが開催されるなど環境ブームが沸き起こっていました。私も環境に貢献したいという思いが漠然とあって、それで『エコモット』という社名にしたのです。エコロジーとモバイル、トっていうのはロゴでは北という字を表しています。環境と携帯と北海道っていうのが私の中のひとつのテーマでした。最初の事業として融雪システムの遠隔監視をやろうとその時には考えていました。
 
 ――クリプトン社に在社していた時はモバイルを使ったアミューズ系の音楽やゲームなどのコンテンツ制作でしたね。もっと携帯を実社会に活かしたいということで起業されたということですが、まさにIoTの走りですね。

 入澤 クリプトン社に勤めていたころは、サイバー空間の中だけの仕事で完結していました。コンテンツを作ると誰かがダウンロードして誰かが見てくれる。それはそれで楽しかったし勉強にもなりました。私は、2006年5月に結婚したのですが、妻は幼稚園の先生をしていたので結婚式には大勢の園児たちが来て祝福してくれました。式では妻が園児たちにすごく感謝されているのです、『先生、ありがとう、ありがとう』と。私は正直、それまで仕事を通じてお客様に直接感謝してもらったことがなかった。自分の作った着信メロディーを使っている人が10万人いたとしても誰が使っているのかわからない、顔が見えない。もっとリアルな世界で仕事をしたいとその時思いました。それが起業に繋がったきっかけでもありました。

 ――当初から株式上場を目標にしていたのですか。

 入澤 上場をしようと考えた一番のきっかけは、創業2年目くらいの時でした。融雪システム遠隔監視の営業のため、あるマンションの理事会に参加しました。その時、理事の人から『ベンチャーが開発したシステムで本当に大丈夫なのか』という声が上がったのです。理事長が『一生懸命やっている会社を応援しましょう』と言ってくれて採用になりましたが、その後で理事長から『入澤さん、僕らはこのマンションに一生住むのです。このシステムはすごくいいものだと思うし一生使うと思う。だからあなたたちとは一生の付き合いなのですよ』と言われました。

 私は正直に言うと、ずっとこの仕事をやり続ける自信がなかった。それで思ったのは、会社を公器にしないといけないということ。入澤拓也の個人商店のままで、僕が死んだら全部終わるのは良くない、と。一生使ってくれるお客様のためにも、会社をしっかり安定したものにしなければいけないということをすごく思いました。それが上場に繋がった大きな理由です。

 ――ところで、現在の事業内容はどんなものでしょうか。

 入澤 当社の事業は、いわゆるIoTインテグレーション事業というもので、IoTを導入するクライアントに向けて2つの提供方法を持っています。我々がニッチな市場に自社商品を作ってパッケージにして、それを当社の営業マンが売りに行くというパターンとお客様がこんなことをして欲しいということに対してIoT化を施すパターンです。
 パッケージにして営業マンが売る最初の事業は、融雪システム遠隔監視『ゆりもっと』でした。でも雪だけでは大きく市場が成長しないので、次に目をつけたのが建設現場。建設現場のIT化は遅れていましたから市場が広がると考えたのです。それで建設現場の情報化支援である『現場ロイド』を加えました。土木建設業の現場にカメラやセンサーを付けて施工管理などを遠隔監視で行えるようにしました。

 さらに『Pdrive』という交通事故削減サービスも加えました。加速度センサーが急ブレーキや急ハンドルといった交通事故の兆候である危険運転を察知すると、搭載しているモバイル通信端末を介して車載カメラの動画をクラウドに保存、社内の安全管理者にメール配信する機能があります。この動画配信機能はヒヤリハットの見える化によって交通事故削減、自動車保険低減に役立ちます。
 当社がターゲットにしたのは、タクシーやバス、トラックなどの事業者向けではなく、食品販売や医薬品販売などの営業会社で社有車をたくさん保有している事業者向けで、大きく伸びています。
 
 もうひとつ、当社が手掛けるIoTプラットフォーム『FASTIO』のインテグレーションは、簡単に言えば物理現象を電気信号としてクラウドに取り込み、外部クラウドサービスへ渡すまでを首尾一貫して提供するサービス。一気通貫、ワンストップでやることが我々のソリューションの柱になっています。

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