(写真は、小平のミズダコを掲げる阿部喜三男さん。ひとと提供)
—―藤谷さんが1次産業の生産者と人脈を築くようになったきっかけは何ですか。
藤谷 私はもともと証券マンでしたが、20年近く前に辞めて北海道のカニやホタテなどの水産物をネットで販売する事業を始めました。証券マン時代からお世話になっていた道内の大手ドライブイン会社社長の助言もあって始めたのですが、その社長に連れられて道内各地の市場や仲卸、生産者を回ったので地域の人たちと知り合うようになりました。
当時は、以前の証券マン時代の知識を活かして株式レポートなども書いて副業をしていましたが、リーマンショックを契機に食の通販1本に絞り込みました。それが2011年1月に設立した「ひとと」です。ドライブイン会社の社長には、『仕入れ先を大事にする』ということを、身をもって学びました。それが今の私の原点にもなっています。
――今後は、どんな事業展開を考えていますか。
藤谷 目指したいのは1次産業の生産者と一緒になった新たな販路の開拓です。一般消費者だけではなく量販店、飲食店向けの販売も考えています。これらに向けた食材の販売は、卸売市場から仲買いや仲卸を経て流通するのが一般的です。当社はネットを通じて直に量販店や飲食店とマッチングさせて食材を出していきたい。
ネットを通じた直販は既に手掛けているところがありますが、その際に当社の強みである生産者との繋がりを活かし、飲食店に食べにくるお客や量販店に買いに来るお客と生産者を結び付けるような取り組みをしたい。例えばQRコードを付けて簡単に応援エールを送れるようにすると、生産者と消費者がより深く繋がることができます。繋がりができれば、現地に行って生産者に会ってみようとか様々な行動に結び付きます。いずれにしても、こうした事業を通じて地方創生や町おこしに協力できればと思います。(終わり)