留萌郡小平町のタコ箱漁オーナー募集がほぼ10年ぶりに復活し、マツコ・デラックスと有吉弘行のテレビ朝日系深夜番組「マツコ&有吉 かりそめ天国」に2度も取り上げられ全国的な反響を呼んだ。仕掛けたのは、ネット通販の「ひとと」代表取締役の藤谷透氏。ネット通販と言っても同社の場合は、単に品物の販売をするだけではなく、地域の生産者と購買者を結び付ける「地方創生型」とも言える異色のネット通販。地域密着通販を展開する藤谷氏にインタビューした。(インタビューは北方ジャーナル7月号と同時掲載しております)
(ふじたに・とおる)1969年2月生まれ、48歳。札幌市出身、大学卒業後、ヤマタネグループ勤務を経て99年に独立。道内の水産物ネット販売などを経て2011年2月に「ひとと」設立、代表取締役就任。
――5月のタコ箱漁オーナー募集は、全国放送でも取り上げられて大きな反響を呼びました。2007年に行われたこの催しを10年ぶりに復活させたのはなぜですか。
藤谷 小平町で水揚げされているタコをネット通販で本州の人たちに届けたいという気持ちで地元漁師の阿部喜三男さん(阿部漁業部)と接触していたのですが、阿部さんから10年前に当時の留萌支庁水産課が発案したタコ箱漁オーナーの話を聞きました。私自身、実はこのタコ箱漁オーナーのことを知らなかったのです。話を聞くと100箱のオーナー募集に全国から2万を超える応募があって大ブレークしたといいます。それはすごいと思い、当社のノウハウで何とか復活させれば関係者は皆ウインウインになるだろうと思いました。
しかし、当時と比べてタコの水揚げが減っていて、実際にはできないだろうと考えていました。ところが昨年後半からタコが多く獲れだしたのです。阿部さんも驚くほどの水揚げだと言います。これならタコ箱漁オーナーが復活できるのではないかと阿部さんに「やりませんか?」と聞くと「やろう」と。それで決まりました。
――今回は、オーナー募集300枠に対して全国から2000人近い応募があったそうですね。
藤谷 07年当時と比べてネットが普及しているのでネットで知る人も多かったと思います。また、久々の復活ということで新聞、テレビに取り上げられ注目されました(注…2008~11年までは留萌管内の新星マリン漁業協同組合が中心になって開催していた経過がある)。獲れるか獲れないかはタコ任せというところが受けたのではないでしょうか。07年は1口5000円でしたが、今回は1万円。それでも全国から2000近い申し込みがありました。
小平のタコ(ミズダコ)は、北海道ならではの大きさが特徴です。本州はタコ壺に入るくらいの大きさで、せいぜい2~3キロ。小平のタコは10キロを超えます。だからタコ壺では間に合わずタコ箱が必要なのです。