高向巌札商・道商連前会頭インタビュー「JR北海道島田社長にはラッセル車の如くなって欲しい」

経済総合

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 ―—道内企業には横並び意識があるのかも知れません。
 
 高向 多少、役所的思想があるのではないでしょうか。民間なら、その時々の状況によって値上げしたり下げたりするべきだと思いますね。もう1つ、技術やノウハウに特色があって成長していく企業は育てていかなければいけませんが、延命しているような業績の悪い企業は整理したほうが良い。選択と集中というか、良いところを拡大して悪いところを縮小していく。それも1つの需給調整だと思う。
 
 ―—企業の延命措置と言われた金融円滑化法の負の側面が、まさにゾンビ企業の延命ですね。
 
 高向 全部を生かしておこうという発想でしょう。新陳代謝っていう言葉があるでしょう。業種・業界を問わず新陳代謝によって新しい企業・産業が育つ。実際に新陳代謝を実行していけば可能性はすごくある。いつまでたっても可能性だけではいけない。そろそろ実現する時期ですね。
 
 ―—高向さんは、新産業の育成を図るなど実際に新陳代謝の芽を蒔いたのでは。
 
 高向 そういうつもりでやってきました。銀行でも不良債権処理を結構やりましたが、不良債権処理というのは銀行側の用語で、世間一般的には企業再生と言います。経営の破綻した会社、経営の危機的な会社の立て直しをするわけですから。そういうことをもっと積極的にしなければいけない。存続させるだけではいけない。これはJR北海道も同じです。
 
 ―—そのJR北海道の再生について高向さんはどう考えますか。

 高向 単独で維持困難な区間の議論もどこかで解決点を見つけなければならない。どうにもならない路線があるのは事実です。バス転換したほうが便利という区間もある。しかし存続か廃止か、微妙な路線もあります。それは、個別に見ていけばいい。例えば宗谷本線は、防衛上の必要性から国境までは残しておこう、だから線路だけは国が持ってくださいと。石北線は、オホーツク圏をどう考えるか。オホーツク圏を1つの文化圏、経済圏として確立させたほうが良いと私は思う。今はなんとなく曖昧。オホーツク圏は独立させて大事な地域であるという共通認識を確立したうえで、線路を維持することが大事です。
 釧網線はどうか。これは観光上必要なので使っていきましょうと。あの地域は道路よりも鉄道が生きていくのではないですか。そういうことを1つずつ根拠立てて説明して国に援助を受けるところは援助を受けましょう。やはり地元で考えて国に持っていかないと、国はそんな親切には考えてくれませんから。私はできると思う。
 
 ――JR再生推進会議の委員をされていますね。
 
 高向 会頭は退任しましたが、JRの再生推進会議の委員は残ってくれと言われました。だからしばらくその方向で応援しようと思っています。JR北海道は、地域の反対運動が強いので頭を痛めていますが、しっかりやって欲しい。どうやってJR北海道の首脳陣を勇気づけようかと考えて鉄道模型店に行って、ラッセル車を買って社長たちに進呈しました。『あなた方の机に置いて、日々ラッセル車を見てこれぐらいの気持ちでやって欲しい』と言いました。これまで20年できなかったことです。でもやらなければなりません。
 
 ―—ところで、岩田圭剛札商・道商連会頭にはどんな期待をしていますか。
 
 高向 彼は地元・札幌の方ですし人望もあって馬力もあります。就任会見で私のことをダンプカーと言ったようですが、私は岩田さんの方がダンプカーじゃないかと思いますね。セダンは私の方。あの言葉を取り消してくれと言っています(笑)。岩田会頭のやるべきことは、冬季オリンピック・パラリンピックの招致実現でしょう。それをやれば北海道新幹線も早く繋がっていきます。
 
 ――以前、バブルの検証をまとめたいと言われていました。
 
 高向 それは私の回顧録になるかもしれません。大勢の経営者に当時の状況などを自分でヒアリングして取材を進めています。かなり当時の状況がわかってきました。バブル崩壊で北海道は蓄積を失いました。1つの銀行(北海道拓殖銀行)と1つのデパート(丸井今井)、これは道民の蓄積です。それをみんな失ってしまいました。いずれまとめて本にしたいと思っています。(終わり)

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