札幌商工会議所の高向巖会頭(北洋銀行会長)は、今年11月から始まった3期目を自ら仕上げの期間と位置づけ国際化を積極的に推進する考えを明らかにした。来春にはベトナムなどに初の海外ミッションを派遣、現地の中小企業との連携を進めていき、会員企業のビジネス拡大につなげていく。


商工会議所は、提言や相談といった業務のほかに自ら動く組織として他の経済団体とは一線を画している。
高向会頭は、西尾長光元会頭の死去を受けて就任、西尾氏の会頭残余期間数ヵ月を別にすれば、11月からが3期目となる(1期は3年間)。
高向会頭は、北海道経済の構造を開発援助型から自主自立型に変えていくために、北海道の強みである食と観光の分野で、農商工連携の促進や海外観光客の誘致などに力を入れてきた。
「自主自立型経済をもう一歩進めるためには一段の国際化が必要だと思っている」(高向会頭)として3期目は、道内企業の輸出や現地生産に繋がる国際化への土壌作りに力を入れることにしている。
そのひとつが海外ミッションの強化。札商はこれまでにも海外ミッションを派遣してきたが、今後は回数を増やし訪問地も成長が著しい地域を選ぶなどして具体的な成果に結び付けていく。
来春には、その一環としてまずベトナムに海外ミッションを行う。ベトナムのハノイにはニトリの現地工場があるほか、ホーチミンにはサッポロビールの工場もある。この2工場を軸にして現地の中小企業を訪問、連携を進めていく。また、中国東北部の大連、瀋陽のほか札幌市が姉妹提携した韓国の大田広域市にもミッションを派遣する。
団長には、札商国際委員長の佐藤幹・札幌市都市開発公社社長(北洋銀行元常務)が決まっている。
また、身近に国際化を進める手立てとして札商が音頭をとって、中国語の習得運動も展開する。札幌を訪れる中国人観光客が増えているにも関わらず札幌市民の受け入れ態勢が整っていないため簡単な日常会話程度でも話せるように中国語習得のきっかけ作りをしようというものだ。
高向会頭は、「中国総領事と話していたら、『地元の方がもう少し中国語を勉強していただけると有難い』という意見があった。ホテルやお土産、タクシーなど中国人観光客と接する機会の多い市民が、少しでも中国語を話せると札幌の印象も変わると思う」と話す。
高向会頭は、商工会議所の使命を「会員企業の役に立ち経済の活性化に資すること」と強調する。調査・提言にとどまらない「実現機関」として3期目を自ら仕上げの期間と設定、食・観光に横串を通す「国際化」に実績を残して今期で勇退することを匂わせた。
(写真は高向巖・札幌商工会議所会頭)

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