洋菓子きのとや(本社・札幌市東区)のグループ会社、BAKE(同・東京都港区、ベイク)は約15億円を投じて札幌市白石区に自社工場を建設、11月1日から稼働を始める。BAKEは、きのとやの東苗穂工場(札幌市東区)で生産していたものを販売していたが、初の自前工場を持つことにした。主力の焼きたてチーズタルトが国内外、とりわけ東南アジアで好調なため輸出専用工場と位置付ける。(写真は、BAKE北海道工場のプレゼンテーション会場で挨拶する長沼昭夫氏=左と長男の真太郎氏)
(写真は、北海道工場のチーズタルト生産ライン)
BAKEの長沼真太郎代表取締役(30)は、きのとや会長・長沼昭夫氏(69)の長男。3年前に東京できのとやが生産する商品の販売をメーンに起業。チーズタルト半製品をその場で焼くリアル感のある販売方法や訴求力のある店舗デザイン、1ブラントの専門店展開など「きのとやのお菓子を北海道のお土産菓子から首都圏や海外でも日常的に楽しめるお菓子にする」(長沼真太郎代表取締役)ことをミッション(使命)にしている。
現在、焼きたてチーズタルトを中心に国内外25店舗(国内14店舗、海外11店舗。シンガポール、香港、タイ、韓国、台湾、上海の6ヵ国で展開)を運営、年間約3500万個を販売している。2016年6月期は、36億円の売上高を計上した。今期は、アジア圏と中東で店舗網を拡大、さらに焼きたてシュークリームの専門店や焼きたてアップルパイ専門店を国内外に出店する。
こうした積極的な拡大策に対応するため、初の自前工場を持つことにした。札幌市白石区本通17丁目に建設した工場は2階建てで延床面積2211㎡。1階にチーズタルトとアップルパイの生産ライン、冷凍倉庫がある。飛行機の格納庫をイメージした外観デザインで、搬出は海外輸出用コンテナを直接工場に付けられるようにしてダイレクトに輸出できるようにした。新規に60人を雇用、きのとやからの出向者を含めて80人体制で稼働させる。
チーズタルトの半製品を1日10万個(年間3500万個)、アップルパイ半製品を1日3万個(年間1000万個)を生産できる能力があり、フル稼働するとチーズタルト80億円、アップルパイ40億円の合計120億円を生産できる。工場規模はきのとや東苗穂工場と同じ。BAKEの工場稼働に伴い東苗穂工場のチーズタルト生産ラインは、1日10万個から3万個規模に縮小する。
BAKEは、17年6月期に90億円の売上高を予想しており、きのとやの売上げ(16年6月期で約50億円)を上回る見込み。
長沼真太郎代表取締役は、「きのとやと資本的な関係はないが、今はグループとして相乗効果が出ている。今後の資本政策としてより一体になる持ち株会社を検討している。役割分担をしながら、グループとしては一体化していく方向だ」と話している。
(写真は、北海道工場の外観)
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