札幌商工会議所(高向巖会頭)は、ものづくりにかける努力と情熱を持ち続け、そこから生まれてくる技術と発想力で北海道のものづくり産業を支えている「企業人」を表彰する「ものづくりスペシャリスト表彰」を創設した。今年3月には初回の平成26年度受賞者5名が選考され、表彰式が行われた。札商では今年度も同表彰を実施、7月から応募を受け付ける。同表彰を通じて道内のものづくり産業のレベルアップに貢献していく考えだ。20150314(写真は平成26年度ものづくりスペシャリスト表彰の受賞者たち)

 とかく製造業が弱くものづくり産業で後れを取っていると言われる北海道。とりわけてサービス産業が活発な札幌市では、ものづくり産業の実力が市民の間でもあまり知られていない。しかし、札幌発のものづくり技術やノウハウの中には全国から注目される高度でユニークなものがあって、日本の産業や社会を支える重要な役割を担っているケースがある。
 札商が平成26年度に創設した「ものづくりスペシャリスト表彰」は、こうしたものづくり産業を支える企業の技術者に光を当て、広く社会に周知するとともに技能・技術者の地位向上、さらには同産業に若い人材が入ってくることなどを目的にしている。
 
 平成26年度の第1回には自薦他薦で19人が応募、道や札幌市の産業振興部門担当者や国立研究開発法人の研究者など9人からなる選考委員会が候補者に面接も行い最終的に受賞者を決定した。
受賞者と受賞理由は次の通り。
 
【最優秀賞】・札幌エレクトロプレイティング工業㈱相馬道明氏(47、勤続30年)…30年にわたり金属部品のめっき及び機械加工に従事、航空機エンジン部品の耐酸化性での特許取得や抗菌めっきの剥離技術等様々な技術を有しており、実直な性格は代表者からの信頼も厚い。
【優秀賞】・玉造㈱篠原衆治氏(65、勤続42年)…入社以来42年にわたり溶断・溶接部門に従事し、1978年に開先切断法と呼ばれる現在の開先切断の基礎となる技術を考案し同業他社へ広く技術公開したことで産業発展に貢献した。
 ・寿産業㈱岡田庄司氏(59、勤続36年)…加熱炉で加熱された鉄を棒や板状の製品にするため誘導装置であるローラーガイドを種々設計し、現在47件の特許を有する。このローラーガイドは国内40以上の製鉄所で使用されており、安定的な生産に貢献している。現在、同社鉄鋼関連事業部技術室長。
 ・㈱ニッコー輪島史氏(39、勤続9年)…国内では普及例の少ない、小型船舶にも搭載できるシャーベット海水氷専用製氷機を開発、これにより海水氷の特性を活かした水産物の鮮度保持に活用でき、水産物の新たなブランド化を可能にした。現在、同社札幌営業所所長。
【奨励賞】・北海道衛星㈱竹内佑介氏(30、勤続7年)…肉眼では識別できない現象を可視化するハイパースペクトルカメラの開発から販売まで関わり、新たな市場を切り開く可能性を持つ。年齢も若く今後さらに期待が持たれる。
 
「ものづくりスペシャリスト表彰」は、受賞者のモチベーションアップにもなりさらなる技術向上とともに若い世代への技術承継にも結び付いていくことが期待される。ものづくりは、製造業だけでなくIT分野や建設業の分野も含まれるなど裾野は広い。同表彰は道内ものづくり産業の発展に寄与し、次代のひとづくりにも繋がっていくことになるだろう。
 平成27年度の応募者受付は7月から始まる。詳細は札商のホームページを参照。


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