アスリートファーストとか五輪の開催時期の変更とか、はたまた東京五輪は失敗だったとか、そういった論調にもっていきたいのかもしれませんが、悲しくなりますし、アスリートファーストと主張しながら、アスリートの出場の機会を奪うことになる中止を訴えているメディアが論じても説得力がありません。

 暑さがというなら、オリンピックの開催時期とともに、国内で唯一夏に開催してる北海道マラソンについても、主催者である北海道新聞はあらためて検証しなければならないですね。

 2019年の五輪代表選考会では、日本陸上競技連盟は夏開催の五輪を想定して「暑さに強い」と見込んだ選手を選びましたよね。そもそも東京の暑さを想定して準備や対策をしていた選手や日本陸連からの反発なら理が通りますが、暑さについてなぜ外野であるメディアがそんなにそんなに騒ぐのでしょうか?

 ちなみに日本陸連の公式サイトによると、1980年以降の五輪での男子マラソンの気温は84年が27℃、88年25℃と続き、最高気温は2004年の30℃、最低気温は2000年の21℃でした。湿度についてはデータが揃っていません。

 中継でもスタート時の天候についてアナウンサーは「そんなに暑くない」「データとしては気温26℃、湿度80%となっていますけれど、風もあってデータ以上に涼しく湿度も低く感じられます」と伝えていました。キプチョゲ選手は札幌の気候について「不満はない」と語っていました。

 棄権率については、特殊なコロナ下の今大会と通常の大会と比較するのはナンセンスですが、最も低い棄権率は、各社が比較している2016年のリオ五輪で10・3%、最も高かったのは84年の27・8%でした。平均が18・6ですから高いとは思いますが、今大会の28・3%について「大幅増」という言葉や、最低棄権率のリオ五輪と比較することが適切なのかは疑問が残ります。

 それにしても延期にならずに昨年開催されていたら、札幌の気温は最高気温23・3℃、最低気温17・7℃だったので何を材料に叩くのでしょう。暑さ対策をしてきた日本選手にはやはり不利だったから東京開催が良かったとか?秋開催にしたらしたで台風が多い時期にとか、最近は北海道でも台風が直撃するとか(笑)。

 競技当日どんな状況であっても、粗探ししてネガティブ記事のオンパレードなんでしょうね。

 マラソン・競歩の札幌移転を巡ってはリアルエコノミーの「東京五輪マラソン・競歩の札幌開催、市民は歓迎しつつ戸惑いも」、「東京五輪マラソン・競歩札幌開催で喜び・悲しみ半々、歓迎ムードもモヤモヤの原因は?」でも書いているように、日本陸連・選手からの反発から始まり、都民からの盗人扱い、小池百合子都知事の「北方領土でやったらどうか」発言、テレビのワイドショーなどによる札幌叩き。加えて成功に安堵したと思いきや、自粛していないと札幌市民下げ、酷暑だと札幌の気温ディスり。

 こちらから札幌開催を要請したわけでもないのに、競技を成功させるために粛々と準備したスタッフや、メディアの開催批判が高まった中でも協力したボランティア、交通規制によって不便を強いられた札幌市民に対して失礼ではないでしょうか。批判ばかりで開催地、札幌への配慮もない。非常に不愉快です。

 だからといってオリンピック自体に嫌悪感はないですし、地元の人間としては無事終わってほっとしています。24日から始まるパラリンピックが心から成功することを祈っています。
 
 東京五輪の札幌マラソン・競歩の報道について思うことは、またまだありますが、ひとまずここでペンを置きます。



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