11月1日、2020東京五輪のマラソン・競歩の開催場所が札幌市に決まった。正式に決まったからには、残り9ヵ月、鈴木直道知事の発言のように札幌市とともに「オール北海道」で粛々と準備を進めなくてはならないだろう。しかし、開催決定の喜びと悲しみが半々、モヤモヤとした感情を抱く市民、道民も少なくないだろう。(写真は、藻岩山から見た札幌の市街地)

 東京キー局を中心としたテレビ報道では「札幌市民は歓迎」のテロップが映し出されているが、当然歓迎一辺倒ではない。東京都と都民がどれほど「2020東京オリパラ」に精力を注ぎ、楽しみにしてきたかを考えれば、マラソン・競歩の会場移転を札幌市民、道民もすんなり喜べるはずがない。果ては東京VS.札幌のような世論の構図までつくられては、IOC決定に理不尽さを感じざるを得ない。選手ファーストと言いながら実はIOCファースト、そこに逆らえない開催地とはいったい何なのか。

「公平・公正」なメディアであるテレビ局が、連日札幌開催もコースも決まっていない時点で、コースを検証したり、いかに札幌がマラソン開催地として相応しくないかのコメントを元マラソン選手やコーチ、解説者から引き出すために誘導したりしていた。

 公共の電波を使い札幌でのマラソン開催批判、観光批判、都市批判を繰り返し、さらに札幌の景観が東京よりも劣っているという趣旨の発言をするテレビ人まで現れる始末。東京開催にこだわるのは理解できるが、移転先を批判して何がどうなるのかと言いたい。
 そんな発言が流れるたびに、悔しい思いとともに嫌悪感を募らせてきた市民、道民も多いはずだ。特にワイドショーの司会を務める小倉智昭氏、宮根誠司氏、恵俊彰氏の発言は自らの品位を貶めたものである。

 誰だって自分の住んでいる場所や故郷を否定するような発言を聞いて良い気持ちはしないだろう。東京都民の失望は察するに余りある。そういう気持ちを汲めばマラソン・競歩大会の失敗は許されない。大会には多くの競技団体や関係者、ボランティアの協力が必要になるだろう。これから先、マラソン・競歩開催成功に向け都民、札幌市民・道民の連携が進むことを期待したい。



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