根室市落石の水産加工会社、兼由はこのほど、同社の人気商品である魚介類のレトルト煮付けシリーズに、北海道産「ぶり」を使用した新商品4種類を開発、2025年7月から新発売した。(画像は、北海道産ぶりのバジル)
近年、北海道沿岸ではぶりの水揚げ量が増加しており、道産ぶりの新たな活用方法が注目されている。兼由では、このぶりについて、手軽においしく、安心して食べられるように試作・改良を重ね、今回4種類を商品化することに成功した。4商品は、「ぶりの旨煮」「ぶりの味噌煮」「ぶりの生姜煮」「ぶりのバジル」(いずれも内容量85g、税別420円、賞味期限2年間)。これまでのレトルト煮付けシリーズと同様、常温保存が可能で、家庭で簡単に本格的な味が楽しめるのが特徴。簡便で即食可能な商品となっているため、食事を作る時間が少ない人や単身者におすすめの商品となっている。
兼由の創業は、大正初期で中型のサケマス・サンマ漁船を保有する漁業会社だった。その後、サケやサンマの一次加工に進出したが、水揚げが減少し、2015年にロシアが排他的経済水域(EEZ)でのサケマス流し網漁を禁止してからは、さらに漁獲量が減少。このため、二次加工のウェートを高め、魚介類のレトルト煮付けをシリーズ化していった。当初は、サンマやイワシの煮付けが中心だったが、2020年以降は、ホタテ、ホッケ、サバ、サケといった根室産など道産魚介類を使用したレトルト商品の種類を増やしていき、現在では、二次加工のウエートが売り上げの9割近くを占めるまでになっている。
全国的に見ると、スーパーなどでの魚介類消費量は、年々減少傾向を辿っている。同社のレトルト商品は常温保存が可能で、開封すればそのまま食べることができるため、そうした中にあって、堅調に売り上げを伸ばしている。濱屋高男社長は、「豊かな北海道の海の恵みを、手軽に・おいしく・安心してお召し上がりいただけるよう、今後も商品の種類を増やして魚介類の消費拡大に繋げたい」と話している。同社商品は、イオン北海道の「イオン」店舗などのほか百貨店、北海道のアンテナショップ、自社を含めたECサイトで販売している。