道議会の各議員や会派には政務調査費という経費が支給されている。その金額は一人当たり月額53万円というから結構な額だ。報酬は別に貰っているから、さらに自由に使えるカネが我々道民の税金から払われていることになる。
自由に使えると言ってもそれは調査研究に充てることになっており、道民のためになる道議の活動を支えるための教育費と言っても良い。
広い意味の教育費だから、忙しい道議に変わって資料収集や調査をしてくれる人を雇うための人件費や事務所も持たなければならないから事務所費もいる。確かに理屈ではそうだけど、何も一律に支給することはないのではと感じる。
例えば、上限額を53万円にして、実際にかかった額を請求するという手法をとってもいいのではないか。議会関係者にとっては手間がかかるかも知れないが、今は給料の計算をやってくれる専門の会社もある。そこにアウトソーシングしたって良い。現状の全額支給では使いきりの意識が働くのは否めない。必要な額だけ請求して支給すれば、政務調査費の使い道や額について抑制的な気持ちが働き、財政難に悩む道庁にとって好ましいことではないのか。
サラリーマンだって必要経費はその都度請求しているんだから、道民のために働かなければならない道議を例外にすることはない。
その政務調査費を何に使ったかを示す内訳の公開が7月1日から始まっている。今回は1万円以上から公開することになったため、添付する領収書の数は道議104人全体で8000枚近くにもなっている。ただ、領収書と言っても、支払先などを個人情報保護を理由に黒く塗りつぶしたものが多く、透明性がないものもある。
道政問題を追及している北海道市民オンブズマン連絡会議の橋本勝三郎代表監事は、「公人の公務で使われた公費は原則公開すべき」と言うが、多くの道民にとってその原則こそが納得のいくものだろう。
道議会では今年度から1円以上、つまり全額領収書をつけることにしたが、果たして透明度はより高まるだろうか。むしろ、黒く塗りつぶされた領収書が増えることになり兼ねない。
公開度が高まれば高まるほど、透明度が落ちるという皮肉な現象は、個人情報保護が防波堤の役割をしているからだ。何も銀行の口座番号まで教えろといっているのではない。公開の趣旨によって個人情報保護は限定的になることは当然ではないか。
(写真は道議会図書室で政務調査費の領収書を閲覧する橋本勝三郎氏)