IMG_0257 コープさっぽろの大見英明理事長は、10日札幌コンベンションセンター(白石区)で開催された取引先の親睦団体「生協会」新春学習会で2014年の道内流通界を展望、「アークスのヤオコー化」と「イオン北海道のコンビニ型スーパー『まいばすけっと』多店舗化」の2つを懸念事項として指摘した。また、年末商戦はコープの店舗売上げが前年比103・6%、宅配トドックが100・3%だったことも明らかにした。(写真は、生協会の新春学習会で話題提供として講演する大見英明理事長=2014年1月10日午後)
 
 生協会の新春学習会には、メーカーや取引先などから約1800人が出席、生協会会長のナシオ平公夫社長の挨拶に続いて大見理事長が約30分間のスピーチを行った。
 
 その中で、大見理事長はこの20年間の道内流通界の再編について分析、「昨年後半に帯広でダイイチがイトーヨーカ堂と一緒になり、いちまるがイオンと一緒になった。帯広・十勝圏では、福原のアークスとコープさっぽろ、ヨーカ堂、イオンの4極の戦いになり、そのことが(他の地域でも)波紋を広げて行くだろう。私は昨年後半からの動きによってこの20年間で4度目の再編時期に入ったと見ている。消費増税はさらに再編を加速して、2~3年間は動乱期になるだろう」と見通した。
 
 また、「統合が進めば進むほど、不採算店舗の閉鎖が同時に進む。市場は高齢化と人口減少が同時に進んで縮小しており、今後もこの傾向は激しくなる。逆にこのことによっては生存者利益が出てくる可能性がある。コープさっぽろは98年の経営破綻以降15年間でここまで来たが、これからも引き続きしっかりと北海道で生き延びていく」と参加者に訴えかけていた。
 
 大見氏は昨年12月中旬から年末にかけて、道内のコープ店舗ほぼ全店を訪問するとともにライバル店の年末商戦も視察したことを踏まえ、アークスのヤオコー化とイオン北海道が札幌市内で多店舗展開している『ますばすけっと』について注目するとともに、コープさっぽろの戦略にも影響を与える懸念を示した。
 
 アークスのヤオコー化に関して、「12月5日に道東ラルズがオープンさせたスーパーアークス美幌店を見たが、大変びっくりした。ヤオコー(本社・埼玉県川越市)のレイアウトにそっくりだったからだ。陳列ケースの奥行きと幅、冷凍ケースの高さまで一緒。アークスがここまでするということは、今まで取ってきた低価格競争を方向転換するかもしれない」と述べ、アークスの今後に注目していることを強調した。 
 
 また、イオン北海道のコンビニ型スーパー『まいばすけっと』について、「矢継ぎ早に1年間で12店もオープンさせているが、コープさっぽろは大変困っている。と、いうのも以前はコープさっぽろの店舗は中央区の電車通り沿いだけでも9店舗あったが、今は植物園店が一店舗だけ。中央区は店舗を作って欲しいという組合員の要望が強いが、出店するチャンスが厳しくなった」と中央区戦略を再考せざるを得なくなったことを示した。
 
 なお、大見理事長は今年度の振り返りとして、組合加入の出資金下限を5000円から1000円に引き下げたことで今年度中に組合員が10万人増えて既存組合員と合わせて150万人を超える見通しを示し、こうした組合員の増加などによって4月から12月末までの店舗売上げは前年同期比102・7%、宅配は103・2%と順調に推移していることも明らかにした。


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