鳴り物入りで北海道に登場した低価格スーパーの「ロピア」。初上陸から3ヵ月が経過し、「ロピア」と競合するスーパーマーケットの事前準備と事後対策が効いて、各スーパーは、対「ロピア」の姿勢を戦時モードから、平時モードに切り替えつつつある。(写真は、「ロピア福住店」)
「ロピア」北海道1号店となった2024年11月23日オープンの「屯田店」(札幌市北区)は、衝撃のデビューだった。大手メディア、特にテレビ局が中心になって取り上げ、遠方からもどっとお客が押し寄せた。競合するスーパー各社は、個店対策を徹底、いつもの利用客を引き止めたほか、「ロピア」に入店できなかった多くのお客の受け皿ともなって、むしろ繁忙になった。「ロピア」を含めて地域全体のスーパーが潤うという現象が、しばらく続いた。
続く、2025年2月8日の「福住店」(札幌市豊平区)のオープンは、「屯田店」ほどではなかったが、大勢の買い物客が行列をつくった。しかし、並ぶお客から「屯田店」で見られたような熱狂は消え、淡々と待つ姿が目立った。「福住店」開店から1ヵ月も経たないうちに、競合店の「ザ・ビッグ福住店」が、改装休業。ともに低価格のスーパーのため、徹底対決と思いきや、余裕とさえ見える2週間休業は、対「ロピア」の視線変化を感じさせる。
「屯田店」に近い「ホクレンショップFoodFarm屯田8条店」も、約1ヵ月の改装休業に踏み切った。「ロピア」上陸に向けた各スーパーの事前対策と、開店後の事後対策が奏功しており、競合店の対抗チラシを見た消費者の中には、その競合店に1日に2回、買い出しに出かけた人もいる。
スーパー各社は、対「ロピア」の姿勢を戦時モードから平時モードに切り替えつつある。一方で、影響があるとみられているのは、「MEGAドン・キホーテ」「トライアル」「コストコ」。スーパーとは、やや業態が違うディスカウント3ブランドだ。「ロピア」は、現金決済のみからアプリによるキャッシュレス決済の導入にも踏み切るなど、顧客目線を意識する。北海道上陸から3ヵ月、「ロピア」もまた進出モードから定着モードへの切り替え時期に入った。スーパー業界の鉄則がある。平時こそ、本当の実力ということだ。2店舗のオープンを控えた「ロピア」第2幕は、あるのか。