ーー中期計画で未達成になりそうな分野は、何ですか。
黒沢 中期計画では、道産品を道外に販売していこうと、100億円を目標にしていましたが、50億円で止まっています。想定していた以上に、簡単ではなかった。また、東京と札幌の幹線物流を、日本アクセスの協力を得ながら1日3便走らせていましたが、コスト倒れになっていた面もあったので、3便を1便に切り替えました。毎日動く牛乳などの販売が、少し良くない状況です。
道産品事業拡大の一環として、親会社、日本アクセスの全国のお得意先を中心に北海道フェアを催してもらっています。しかし、コロナ禍を経て、北海道には、いつでも訪れることができるようになってきたので、フェア1回当たりの売り上げも少し減ってきました。コロナ禍で、北海道に行けなかった時は、たくさんの集客があって売り上げも順調でしたが、ここ数年は減少傾向です。
ーー幹線物流の状況はいかがですか。
黒沢 元々、採算が厳しい中、日本アクセスが、実際の事業を行っていました。もう一度見直そうということなって、便数を減らしました。幹線物流のエリア拡大による定番商品の拡充も狙っていましたが、中期計画の目標である100億円は、厳しいかもしれない。
ーー日本アクセス北海道の開発商品の状況はいかがですか。
黒沢 中期計画の3年間で、5億円に到達しそうです。新しい開発商品として、トリュフチョコレートとのびーるチーズまん姉妹品の2アイテムを加えました。また、農産品の商材も開発中です。
ーー開発商品の専門部門があるのですか。
黒沢 これまでは、道産品と一緒の部署でやっていましたが、来期から商品部の部門に移して対応していく予定です。
ーー開発商品は道外、道内で販売するということですから、道産品事業の強化に繋がります。
黒沢 メーカーと一緒に取り組んで開発したものについては、製造もそのメーカーに担当してもらって、私たちが販売しています。
ーー開発商品の方向性は。
黒沢 道産品を原料にして、道内の工場で製造することを条件にしています。チョコレートは、原材料の調達が難しいので、製造だけを北海道で行っています。北海道の大きなメーカーを除くと、製造しようと思ってもなかなか難しい面があって、製造コストが、意外に高くなることもあります。設備投資にお金をかけていない工場もあって、製造を委託するのが難しい面もあります。
新進さん(本社・東京都千代田区)という漬物メーカーの子会社、北海道新進アグリフーズさんは、函館に工場があって、そこで新商品「北海道産じゃがいも茹でちゃいました」という商品を製造してもらいます。じゃがいもの皮を剥いて乱切りしたものと、小粒にカットしたものを茹でているので、カレー、スープ、シチューなどに入れて温めるだけで食べられます。じゃがいもがスープに入っているような商品は市場に出ていますが、じゃがいも以外は、何も入れずにレトルトパウチをしているのは、この商品だけで、どんな料理にも対応できるような使い勝手の良さがあります。じゃがいもの皮を剥くのを嫌う人も結構いると思いますから、その手間が省けて即食性もあります。売価で198円~218円を想定しています。
実は、これにニンジンも一緒に入っている商品を、道内では、イトーヨーカドーさんが販売していました。しかし、ヨーカドーさんの店舗が道内からなくなったので、新商品は、道内で手に入る唯一に近い商品かもしれません(一部ダイイチさんで販売)。青果売り場のもやしの上の位置に置いてもらっています。本州で類似の商品を作っているメーカーもありますが、大体が調理スープと煮た液体入りです。液体の入っていないものはそんなにありません。
チルドなので、チルド流通が得意な私たちに適しています。日本アクセスにもお願いして、生鮮部隊の青果担当に売ってもらうのと、日本アクセスの取引口座のない先には、各エリアで青果部門をターゲットに販売してもらう考えです。
北海道の人口も2026年で500万人を割りそうで、今後も早いスピードで人口減少が進んでいくため、私たちが増収増益を目指すためには、売れる部門を増やさなければならない。こういう商材によって青果の口座を開いてもらった上で、さまざまな青果関連商品を紹介して、新たな道筋ができるようにしたいと思います。