ダイイチ(本社・帯広市)とイトーヨーカ堂(同・東京都千代田区)の資本業務提携が発表されたが、道内食品スーパー業界で注目されているのが、ダイイチが資本参加している「いちまる」(同・帯広市)との関係。ダイイチの出資比率は14・8%で持ち分法適用会社の出資比率(20%以上)に達していない。ダイイチは「いちまる」への出資比率を高めるのか、現状維持か、それとも「いちまる」の離脱か――両社の出方が注目される。(写真は「いちまる」本社=左とイトーヨーカドー「帯広店」に隣接する「プラザ。いちまる」)

 ダイイチは一昨年11月に「いちまる」への資本業務提携を発表、その時には上限19%の出資比率で「いちまる」の第三者割当増資を引き受けるとしていた。当時、「いちまる」は苦境に陥っており信用不安が増幅しかねない状況で、ダイイチが出資することで取引先などへの信用を補完する意味合いがあった。
 ダイイチにとっても、「いちまる」が大手流通グループに組み込まれて地元商圏が価格競争に晒されるのを防ぐことができる。
 
 出資比率に関心が集まったが、昨年2月に14・8%で落ち着いた。その後、両社は共同仕入れや共同配送に取り組み、「いちまる」は苦境を脱することができた。
 
「いちまる」は、10数年前にラルズと資本提携を結んでいたことがある。ラルズの出資比率は20%に達していた。しかし、ラルズが持ち株会社構想を具体化し始めたころに「いちまる」は資本提携を解消、結局ラルズは「いちまる」と競合関係にあった帯広本拠の福原と持ち株会社アークスを誕生させた経緯がある。
 
 ダイイチは年商約300億円、「いちまる」は約100億円(食品スーパー売上げ)と開きがあるものの、地元の十勝管内を見ると、ダイイチの10店舗に対して「いちまる」は14店舗で売上げもほぼ互角。
 ダイイチは帯広でイトーヨーカ堂店舗と商圏が競合しないが、「いちまる」はヨーカ堂と隣接して「プラザ。いちまる」を展開、激しい競合関係にある。
 
 ダイイチはジャスダック上場で同族会社ではなく資本政策はフリーハンドに近いが、「いちまる」は未上場でなおかつ同族の色彩が濃い。イトーヨーカ堂との資本業務提携で大手流通グループ入りを決めたダイイチのグループ企業として「いちまる」はどう判断するのか、「強化」、「現状維持」、「離脱」――三つの選択肢に注目が集まっている。



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