食を通じて生産者の理解や流通、加工の仕組み、コミュニティの大切さを学ぶ『食育』に関する研究会がスタートした。コープさっぽろが音頭をとって設立したもので一回目の研究会が24日、札幌市西区のコープさっぽろ本部で行政、生産者、流通加工業者など約100人を集めて開催された。座長は、天使大学看護栄養学部教授の荒川義人氏。荒川氏は「食育を通じて選択する力を身に付け、地産地消による地域の発展につなげることが大切。家庭や学校の役割は大事で生産者や関連する業界、行政が連携して効果的な食育を推進する体制を作りたい」と述べた。(写真は挨拶する荒川義人教授)
 
 北海道は栄養教育が盛んで、2005年に学校教育現場で栄養士の配置が制度化されたこともあって、約400人が配属されている。この数は全国の自治体を圧倒する数で「栄養教育では自慢できる体制になっている」(荒川教授)。しかし、食育については遅れており主流になっているのはイベントなど単発での食育。荒川氏は、「きめ細かく継続的に食育を行っていくことが必要」と指摘する。また、こうした食育の多くはボランティアによるもので、計画的で充実した内容にはなっておらずコーディネート人材の不足などの課題も多い。
 
 今回、設立された研究会では、スローフード発祥の地でもあり食育の先進国とも言えるイタリアをモデルに北海道に相応しい食育プログラムの構築や人材育成を実現しようと言うもの。
 
 第一回の研究会では、コープさっぽろマーケティング室の星野浩美氏が「イタリアの食に関する消費者教育の概要」をテーマに報告したほかコープさっぽろに食育調査スタッフとして出向している国分北海道支社第1支店販売促進担当の田中沙代子氏が「イタリア教育農場の食育プログラム」について事例報告、ホクレン農業協同組合連合会企画課の岩瀬初音氏は「食から感じるイタリアの魅力」と題して特別報告を行った。
 
 星野氏は、「イタリアは情報伝達型ではなく体験型の食育が実践されており公的教育機関での食教育も盛ん。コープさっぽろが食教育をオーガナイズする機能を果たし、食教育のバリューチェーン創造の役割を果たしていきたい」と訴えた。
 
 コープさっぽろの大見英明理事長は、研究会の狙いについて「コープさっぽろは、消費者と生産者をどう繋いでいくかという接点で貢献できることはないかと様々な取り組みを実施している。既に本部内に食育の専任スタップを5人置いて体験型料理教室のプログラムづくりも始めている。今後は、教育農場を作ることや食育を生かす専門教育機関の開設も検討したい。北海道の食材の価値を高めていくことも含めて一朝一夕にできるわけではないので、現場の力、教育力など全てが伴って全体としての完成度を上げていく一助として研究会がその役割を果たしていければと思っている」と語った。


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