11月は北海道スーパー業界乱戦の幕開け

流通

 2024年11月は、北海道のスーパーマーケット業界にとって乱戦の幕開けとなりそうだ。「ロピア」が1号店を出し、「トライアル」や「ダイイチ」が新店舗をオープン、「西友」の「イオン」転換が加速する。迎え撃つスーパー各社も臨戦態勢を整える。価格、鮮度、品揃えの競争ステージが、一段も二段も上がる。(写真は、「ロピア屯田店」オープンに向け改装工事が進んでいる旧「イトーヨーカドー屯田店」)
(写真は、既に看板が掲げられている仮称「ダイイチ千歳店」)
(写真は、建設工事がほぼ終了した「スーパーセンタートライアル室蘭本輪西店」)
(写真は、「イオン札幌厚別店」への転換工事が進む旧「西友厚別店」)

 コロナ禍では価格競争が一定程度抑えられ、特需の恩恵を受けてきたのが、スーパー業界だった。その特需の反動に加えて、ベースアップや運送費、電気料金の値上がりなどが、目下スーパー業界を直撃している。中間決算を発表したスーパーから見えてくるのは、固定費の増加を売上総利益の増加で賄いきれない姿だ。

 そうした中、11月には、北海道にディスカウント(DS)の「ロピア」が初進出、同じDSの「トライアル」も31店舗目を室蘭に出店する。さらに「ダイイチ」は、千歳市に札幌圏8店舗目となる「千歳店」(仮称)をオープンさせる。また、「西友」9店舗の「イオン」「マックスバリュ」「ザ・ビッグ」への転換が進む。

 市場のパイが増えない中での出店は、近隣スーパーの売り上げに響くほか、業界全体に広く薄く影響を与える。実は、この広く薄い影響こそが、スーパーの体力を奪う最も危険な兆候になる。それは、客数減、買い上げ点数減に結びつくからだ。「スーパー業界にとってトップライン(売り上げ)の低下が、経営の歯車を狂わす元凶になる」(道内スーパーのトップ)。11月は、北海道のスーパー業界にとって乱戦の幕開けとなり、アークス、イオン、コープさっぽろという3極構造のカウンターパワーが、形成されていく序章になるかもしれない。

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